暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
マザーズロザリオ編
73.絶剣
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く軌跡を描く。五連撃技、槍ソードスキル《クインテッド・スパーク》。
 槍の穂先がユウキの剣先を正確に捉えて五連撃全てを弾いていく。衝撃によって俺のHPはレッドゾーンにユウキのHPはイエローゾーンに突入していく。
 しかしまだ、ユウキの技は終わっていない。最後の一撃が残っている。
 ───だからあと少しだけ耐えてくれ、俺の体。
 意識を左から右へと変える。技後硬直が発動する前に右手の片手剣を強く握りしめ手首に捻りを加えて、後方へと引く。すると技後硬直が起きるよりも早く黄金の刃は紅の閃光を発する。片手剣重二連技《トータル・インパクト》。
 最後の一撃が俺の胸の中心、エックス字を描くダメージエフェクト中央に照準を合わせている。
 十一連撃目を紅が迎え撃つ。
 激しい衝撃が最初の時のように砂煙を舞い上がらせる。
 とてつもない速さと威力の両方を持っている強烈な技だ。しかしこちらもただでは負ける気はない。
 吹き飛ばされそうになった足を杭を地面に打ち込むようにして耐え、捻っていた手首を元に戻しながら砂煙の中へと突き立てた。
 砂煙が吹き飛ばされ、ユウキの体を確実に捉えた。彼女の体は大きく後方へと吹き飛ばされていった。
 それでも彼女のHPゲージにはわずかにだが赤いドットが見える。
 ここまでの全力を出しても倒しきれないほどの実力。本当に強すぎる。
 そして吹き飛ばされたユウキに俺は語りかけた。

「本当にユウキはこの世界の人間なんだな」

 すると向こう方で彼女が微笑んでいるのが見えた。それは俺にとって十分な答えだった。
 そして俺は両手を持ち上げて叫んだ。

「リザイン!」

 途端にデュエル終了のファンファーレが鳴り響いた。そして少し離れたところにいたユウキのところまで行き、拳を突き出した。
 すると少し戸惑ったような表情を見せてから徐にユウキも拳を突き出す。それを軽くぶつけた。

「本当強いな、ユウキは」

「あ、ありがとう。でも、お兄さんも本当強いね。あのまま戦ってたらボクの負けだったと思うし」

 笑顔でそういう、ユウキだった。あそこで俺はリザインしていなければ確実に負けていただろう。《トータル・インパクト》はそれほどバクチ技なのだ。反動が大きすぎるゆえに技後硬直も長い。さらにいつものようにつなぐことさえもできない。

「それじゃあ、俺が負けたし、OSSを渡したいところなんだけど、今はギャラリーもいるから後日また会おうぜ」

 システムウインドウを動かして、フレンド申請をユウキに送る。
 うん、とユウキは無邪気に頷いた。

「それじゃあな」

 フレンド申請を終えて、立ち去っていく。

「シュウくん!」

 その場から立ち去った俺にまず話かけてきたのはやはりリーファだった。

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