ビギニング:新たな世界
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空気に、匂いがある。
覚醒前の思考の中で、ふとそんなことを意識した。
『ライト!!ライト!!』
頭が痛い。誰の声だ?
『ライトってば!!』
俺はゆっくりと目を開けて、起き上がる。
頭を押さえ、周りを見る。
「……何処だ?」
思わず呟いた。
周りは淡い緑色の草叢に囲まれており、所々に色とりどりの小さな花が群生している。
そして、その奥には樹齢何年とも解らない巨木が連なる深い森。
どう考えても、何処かの草地としか思えない。
『ライト、聞こえる!?』
頭から聞こえる声に頷く。
「ロードか……ここは、何処だ?」
立ち上がりながら俺は聞く。
こんな所で昼寝しに来るわけも無く、意味もなくここにいるはずがない。夢遊病?記憶喪失?
いや、ハッキリと解る。俺は天城来人、さっきのはロード。俺の人格。
すぐに出てきたことに安堵して、俺は腰に手を当てると、銃が装備してあった。
『あ、それ僕のだよ!!』
「と、言うことは少なくともこの世界は……バーチャルって事か」
ロードの銃はリアルにも存在はするが、モデルガンに近い。重さも違うから、まず本物だろう。と言うことは一つ。ここは、VRフィールドと言うことだろう。
と、そこで俺は今装備している衣服に気が付く。
ロードが何時も着込んでいる白いロングコートに、俺が来ている黒いTシャツとズボン。
「どうなってんだこりゃ?」
叫ぶ気持ちを押さえ、どうにか最小の声でツッコミを入れる。まさか、自分でツッコミを入れる日が来るとは。
『ねぇ、ライト。見たことない?』
「何がだよ。此方は今困ってるんだよ」
俺はロードに言うと、溜め息を付く。
「コマンド、ログアウト!」
微かな望みを懸けて、そう発音したが、一切のレスポンスは無し。
「……あー、どうなってんだよ……」
ロードの銃をクルクルと回して言う。
まず、この手の物は大抵、RPG系統のスタートに似ていること。但し、これが初期装備ならば、強くてニューゲームも良いところだ。
それに、GMによる説明すらない。
「……そういう意味では茅場さんはマシなんだろうなぁ……」
俺はそう言うと、銃を仕舞う。危なっかしいし、何より、誤射したら面倒だ。どこぞの誤射姫よりかはマシと言うものだ。
「ロード、どうするよ?」
唯一、こんなゲームに相乗りした相棒に言う。
『取り合えず装備品これ以外に在るか探そうよ』
「そう来たか」
俺はロードの意見に賛成しつつ、辺りを探す。
しかし、何も無かった。
「無いな……」
『兎に角、この中何?』
「大体予想は付く。ソウル・トランスレーターだろうな……」
ようやく記憶と一致して、ロードに言う。
そもそもこの装備は<アンダーワールド>内にダイブするように菊岡に作らせた俺のデータ……と言うよりフラクトライトみた
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