第27話
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これだ。何故ゼロが複数の少女達に好意を持たれているのか、束にはさっぱり分からなかった。
「それで、束。丹下のISは理解出来たのか?」
「仮説ならねー」
「なら聞かせろ」
ゼロの話はここまで、と新たに出されたのは、智春のヴァンガードの事。大きく姿を変え、その力を世界に見せつけたIS。束も興味を引き、アルファーとして再現してみたが、根本がどうしても真似できない。そんな異端のISを、束は推測する。
「あれは、二次移行(セカンド・シフト)なんかじゃない、もっと根本的なもの。ヴァンガードが『それが必要だ』、と判断して、最も確実に勝利するために、ーから構築を毎回し直しているんだ」
「そんな事が有り得るのか?」
「信じられないのも当然だねー。私も未だに半信半疑だし」
二人の話を聞いていた一夏達、正確には一夏には意味が理解出来なかったので、箒達に尋ねる。
「なぁ、つまりどういう事なんだ?」
「簡単に言うと、丹下のISは戦う毎に初期化(フォーマット)と最適化(フィッティング)を繰り返しているかもしれない、と言うことだ」
「毎回一次移行(ファースト・シフト)!?そんなのって…!」
「うん、普通は有り得ないよ。だけど、トモは…」
「ヴァンガードも我々のISとは一線を越すものですし…」
智春のISの異常性が理解できた所で、改めて一夏達は作戦を通達される。30分後、白式と紅椿による追跡、撃墜を目的にした行動だ。
「ならその間私はヴァンガード君の様子でも見ようかなー。紅椿の調整してもお釣りがくるからねー」
軽い口調で、束は部屋のド真ん中にモニターを出現させる。突拍子も無いが、束だから仕方ないと、誰も言及しない。
モニターの向こうでは、
『ハアッ!!』
智春がゼロの零式の肘の刃を切り落としていた。加えて、
「ヴァンガードがまた変わった!?」
ヴァンガードの左腕に『盾』が装着され、右手に両刃の剣を握っている。しかも、両足のエッジは動いていない。智春は、右手の剣を左腕の盾に差し込み、距離を取る。明らかに束の仮説が正しいことが証明された。
───────────
「まだだ!片方刃を失なった程度…!」
ゼロが両手を腰だめに構えた。無数のエネルギー弾の初期動作。だが遅い!発射のタイミングに合わせてゼロの頭に手を乗せ、ゼロを支点に半回転。そのままゼロの背を蹴り飛ばす。
「剣よ!」
先程ゼロの肘の刃を切った剣を再び抜き、今度はエネルギーを纏わせる。夢の中で永遠とも思えるほどに戦った今の俺には、ヴァンガードの能力も理解できる。ずっと俺の為に、ヴァンガードは力を、機能を変えてきた。今も、ゼロに勝つ為に、姿を変えた。そのヴァンガードの意志に、応えてみせる!
「ハルの剣がどれだけでも!
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