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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九話 反逆者の特権
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い。間違い無く黒魔術なのだから……。



帝国暦 488年  6月 30日  ヴァレンシュタイン艦隊旗艦 スクルド  アントン・フェルナー



ヴァレンシュタイン艦隊二万六千隻はガイエスブルク要塞を発ちオーディンを目指して航行している。と言っても敵の目を潜り抜けなければならない。当然だが航路からはかなり外れた、言ってみればかなりの悪路を航行している。そして今、旗艦スクルドの会議室では作戦会議が開かれようとしていた。

司令官ヴァレンシュタイン大将、副司令官シュムーデ中将、分艦隊司令官アーベントロート中将、分艦隊司令官アイゼナッハ中将、分艦隊司令官クルーゼンシュテルン少将、分艦隊司令官ルーディッゲ少将、分艦隊司令官シュターデン大将、そして参謀長である俺、フェルナー少将。それに陸戦部隊を率いるリューネブルク中将、オフレッサー上級大将。エーリッヒを上座にして席に着いた。シュターデンは一番下位に控えている、かなり腹を括っている。

とうとうシュターデンもこの艦隊に来た。アルテナ星域の会戦で敗れた事で貴族達は誰もシュターデンを相手にしなくなったらしい。露骨に避けられたようだ。ローエングラム侯に雪辱したいとは思っても六千隻では出来る事も限られている。という事で出撃の四日前、エーリッヒに旗下に加えてくれと頼みに来た。

“このままでは一生下を向いて生きる事になるだろう、そのような惨めな一生を送るのには耐えられぬ。それくらいなら死んだ方がましだ”
“……”
“オフレッサー閣下に聞いた、卿が死に場所を与えてくれると。私にも死に場所を与えてくれぬだろうか”
エーリッヒはちょっと迷惑そうだった。まあ気持ちはとっても良く分かる。俺だって内心では御免だった。レンテンベルク要塞に置いて来るべきだったと後悔したほどだ。人助けをして後悔するとは、……前代未聞だ。

“私はシュターデン提督を利用、いえ見殺しにしたのですよ”
“分かっている。非情としか言い様は無い。しかし卿は私を利用してミッターマイヤー提督を完膚なきまでに打ち破った。私には出来なかった、いや思いつかなかった事だ、違うかな”
“……”

“軍人である以上、どれほど非情であろうと勝たなければならない。その点で私は卿に及ばない事が分かった。卿の下で一分艦隊司令官として使ってくれ。どんな任務でも否とは言わぬ。この通りだ”
シュターデンが頭を下げた。正直驚いた。プライドの高いこの男がエーリッヒに頭を下げる? 本気なのだと思った。
“……分かりました。出撃は四日後です、準備を整えてください”
シュターデンは何度も礼を言って部屋を出て行った。そして出撃して十日、艦隊はシュターデン分艦隊との連携を確認しつつオーディンに向かっている。

「短期間の休息で作戦行動が続きます。将兵達は不満
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