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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九話 反逆者の特権
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のだ、後方に回す兵力は極端に不足している筈だ。そこを突く……、大胆では有るが理には適っている。
「他にもローエングラム侯には色々と守るべきものが有る、拠点とは限らない、例えば人とかね」
「……皇帝陛下」
「……グリューネワルト伯爵夫人も居るな」
ファーレンハイト中将と俺が言うとヴァレンシュタインが微かに笑みを浮かべた。ヒヤリとする冷たい笑みだ。
「リヒテンラーデ公を忘れて貰っては困ります」
皆が顔を見合わせた。オフレッサー上級大将がまた唸っている。
「リヒテンラーデ公が居なくなればどうなるか? 新たな政権首班はこちらに関係改善を呼びかけるかもしれない。そうなれば今度はローエングラム侯が反逆者になる」
「それは……」
リューネブルク中将が声を上げた。そしてヴァレンシュタインが低く笑う。
「ええ、シュターデン大将の作戦案とほとんど同じです。オーディンを占拠し皇帝を擁しローエングラム侯を反逆者とする」
「……」
ヴァレンシュタインの笑いは止まらない。
「そんな必要は無いんです。こちらはちょっと力を示せば良い、そして働きかければ……。寝返ってくれる人間が出るでしょう、リヒテンラーデ公を排除してね。その心配が有る限りローエングラム侯は常に後ろを気にしなければならない。こちらが烏合の衆なら向こうもそうしてしまえば良い」
暫くの間沈黙が落ちた。皆が顔を見合わせ沈黙している。士官候補生時代から変わった所が有るとは思っていた。共に戦うようになってからは戦場で戦うだけの単純な男ではない、戦略家として帝国屈指の男だと感嘆した。ブラウンシュバイク公爵家の内政を変えた男だ、政治家の素質も有ると認めた。だが謀略家としての才能も有ったか……。
笑い声が聞こえた。リューネブルク中将が笑っている。
「提督、勝てる可能性は二パーセントでしたな。その二パーセントが微かに見えてきたような気がします、そうでは有りませんか」
ヴァレンシュタインが柔らかく笑った。
「……さあ、どうでしょう」
「最初から狙っていたのでしょう? 敵を引き寄せて叩く、そして手薄になったオーディンを突く」
そうだ、今なら分かる、ヴァレンシュタインは狙っていたのだろう。リューネブルク中将が皆を意味有り気に見回した。
「楽しくなってきましたな」
「同感だ、期待出来そうだ」
「魔術ですよ、これは」
「魔術師ヴァレンシュタインか、良いネーミングじゃないか」
「死に場所を忘れんでくれ」
リューネブルク中将、ファーレンハイト中将、フェルナー少将、俺、オフレッサー上級大将が口々に言うとヴァレンシュタインは最初呆れていたがやがて笑い出した。
「魔術の代償は高いですよ」
代償は命、かな。已むを得んだろう、ヴァレンシュタインが使うのはどう見ても白魔術とは思えな
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