シルバーヘアに魅せられて
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ルーネスの髪が、解けた。
モンスターとの戦闘中に、何かの拍子にヘアゴムが千切れてしまったらしい。
さらりとした銀髪が肩程まで流れ、戦士ルーネスはそれを鬱陶しそうにしながらも相手モンスターに踏み込んで止めを刺し、戦闘を終了させる。
「 ────しばらく使ってたし、そろそろ替え時かなって思ってたけど、戦闘中に勝手に千切れなくてもいいじゃんっ」
ヘアゴムは地面の草むらに紛れ、行方が分からなくなっていた。
「レフィア〜、替えのヘアゴム持ってたか?」
「えぇ、あるけど……ルーネス、あんたその髪下ろしたままでもいいんじゃない?」
日の光を受け、つややかに流れる銀髪をどこか羨ましそうに眺めるシーフのレフィア。
「はぁ? ヤだね、女みてーに下ろしてられるか!」
「ねぇ、今さらだけどあんたの髪型っていつ定着したわけ?」
「そんなん忘れた。……覚えてるか、アルクゥ?」
「そういえば、ルーネスの髪は綺麗だから切るのが勿体なくなって、結びなさいっていつだかニーナおばさんが云い出したんじゃなかったっけ……?」
黒魔道師のアルクゥが思い出したように云い、レフィアはその話で納得がいく。
「あぁ、やっぱりね〜 」
「何が云いたいんだよ、とにかくヘアゴムくれって!」
「いいじゃない、暫くそのままでいなさいよ?」
「あのなぁ……、このままだと邪魔なんだって! ────もういい、短剣で髪切るっ」
少し苛ついた様子で脇差しの短剣を引き抜くルーネス。
「ちょっと待って、短気はやめなさいって! ねぇイングズ、さっきから独りでだんまりしてないであなたからも何とか云って?」
レフィアがふと赤魔道師の彼を見ると、羽付き帽子の鐔の下からルーネスを黙って見つめたまま声を掛けられても生返事しかしない。
「 ん、………あぁ、別に 」
「つーか、自分でやろうとすると耳とか切っちまいそーでヤだな……。アルクゥ、切ってくれ髪だけっ」
「え、僕が……?!」
ルーネスに指名されたアルクゥは、少しばかり動揺する。
「適当に短くしてくれりゃいいからさ。何なら、イングズみたいに!」
「ご、ごめん……僕も間違って耳の辺り切っちゃいそうで怖いから、やめとくよ」
「何だよ〜。────じゃあ刃物の扱いに一番慣れてそうなイングズ、髪だけ思いっきしバッサリやってくれ!」
「 判った 」
「え、ちょっ、本気なのイングズ……?!」
レフィアとしてはやめて欲しいが、彼は歩み寄って短剣を受け取りルーネスの背後へと回り、
肩程の長さの銀髪を一掴みし、閃く短剣の刃を当て─
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