第3部 始祖の祈祷書
第6章 宝探し
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
翌朝、一行は空飛ぶ風竜の上で、シエスタの説明を受けていた。
シエスタの説明は、あんまり要領を得なかった。
とにかく、村の近くに寺院があること。
そこの寺院に『竜の羽衣』と呼ばれるモノが存在していること。
「どうして、『竜の羽衣』って呼ばれてるの?」
「それを纏った者は、空を飛べるそうです」
シエスタは言いにくそうに言った。
「空を?『風』系のマジックアイテムかしら?」
「そんな……、たいしたものじゃありません」
シエスタは、困ったように呟いた。
「どうして?」
「インチキなんです。どこにでもある、名ばかりの『秘宝』。ただ、地元の皆はそれでもありがたがって……、寺院に飾ってあるし、拝んでるおばあちゃんとかいますけど」
「へぇええ」
それからシエスタは、恥ずかしそうな口調で言った。
「実は……、それの持ち主、私のひいおじいちゃんだったんです。ある日、ふらりと私の村に、ひいおじいちゃんは現れたそうです。そして、その『竜の羽衣』で、東の地から、私の村にやって来たって、皆に言ったそうです」
「すごいじゃない」
「でも、誰も信じなかったんです。ひいおじいちゃんは、頭がおかしかったんだって、みんな言ってます」
「どうして?」
「飛ばさなかったんです」
「飛ばさなかった?」
「はい。『許可なく勝手に飛ばすことは許されぬ』って…。けど、皆が信じるわけもなくて。それで、私の村に住み着いて、一生懸命働いてお金を作って、そのお金で貴族にお願いして、『竜の羽衣』に『固定化』の呪文までかけてもらって、大事に大事にしてました」
シエスタがそういった後、ウルキオラが口を開いた。
「だか、そんなものを貰うわけにもいかんだろう」
ウルキオラが言った。
「でも……、私の家の私物みたいなものだし……、ウルキオラさんがもし、欲しいって言うなら、父に掛け合ってみます」
シエスタは悩んだ声で呟いた。
ウルキオラはいらんな、と思ったが、キュルケが解決策を打ち出した。
「まあ、インチキならインチキなりの売り方があるわよ。世の中にバカと好事家は吐いて捨てるほどいるのよ」
ギーシュが呆れた声で言った。
「君はひどい女だな」
一行を乗せて、風竜は一路タルブの村へと羽ばたいた。
さて一方、こちらは魔法学院。
ルイズは授業を休んでいた。
今のような気分の時には、誰にも会う気がしない。
ベッドの中に閉じこもり、食堂に食事に行くときと、入浴するときだけ部屋を出た。
ヴェストリの広場にウルキオラが居ることは知っていたので、先日様子を見に行ったら、そこにウルキオラは居なかった。
通りすがっ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ