第3部 始祖の祈祷書
第6章 宝探し
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シエスタは、たき火にくべた鍋からシチューをよそって、めいめいに配り始めた。
そして、シエスタはウルキオラの近くの地面に紅茶とシチューを置いた。
「はい、ウルキオラさん」
シエスタは可愛らしい声で言った。
ウルキオラはそんなシエスタを見向きもせずに紅茶を啜った。
紅茶のいい匂いが鼻を刺激する。
「こりゃうまそうだ!と思ったらほんとにうまいじゃないかね!いったい何の肉だい?」
ギーシュがシチューを頬張りながら呟いた。
タバサとキュルケも、口にシチューを運んで、うまい!と騒ぎ始めた。
シエスタは微笑んで言った。
「オーク鬼の肉ですわ」
ぶほっと、ギーシュがシチューを吐き出した。
さすがのウルキオラも唖然としてシエスタを見つめた。
「じょ、冗談です!ほんとは野兎です!罠を仕掛けて捕まえたんです」
キュルケはほっと溜息をついた。
「驚かせないでよね、もう」
微笑しながら言った。
シエスタは「えへへ」といいながら頭を掻いた。
おいしい食事のおかげで、座は和んだ。
学院を出発してから、十日ばかり過ぎている。
ウルキオラはシチューを頬張りながら、夜空を見上げていると、何故か頭の中にルイズの顔が浮かんだ。
どうして、ルイズの顔が出てくる?と思った。
「ウルキオラさん、おいしい?」
いつの間にか、隣にはシエスタが座っていた。
尻に敷いた木が、みしっと音を立てる。
ウルキオラは、紅茶を一口飲み、シエスタの方を見た。
「ああ」
シエスタの笑顔は、どことなく懐かしい。
このシチューもどこかで見たような感じがする。
それが、遠く離れた……、どのくらい離れているのかもわからない、現世のそれを思わせた。
食事のあと、キュルケは再び地図を広げた。
「もう諦めて学院に戻ろう」
ギーシュがそう促したが、キュルケは首を振らない。
「後一件だけ。一件だけよ」
キュルケは、何かに取り憑かれたように、目を輝かせて地図を覗き込んでいる。
そしてわ一枚の地図を選んで、地面に叩きつけた。
「これ!これよ!これでダメだったら学院に帰ろうじゃないの!」
「なんというお宝だね?」
キュルケは、腕を組んで呟いた。
「『竜の羽衣』」
皆が食事を終えた後、シチューを食べていたシエスタが、ぶほっと吐き出した。
「そ、それほんとですか?」
「なによあなた。知ってるの?場所は、タルブの村の近くね。タルブってどこら辺なの?」
キュルケがそう言うと、シエスタは焦った声で呟いた。
「ラ・ロシェールの向こうです。広い草原があって……、私の故郷なんです」
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