第3部 始祖の祈祷書
第6章 宝探し
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がポケットから布を取出し、血をふき取った。
「すごいですけど……、やっぱり、戦いは、よくないですね」
シエスタが呟いた。
一方、あんな戦い(ほぼ蹂躙に近かったが)の後なのに、ウルキオラは呆けている。
地図を眺めながら、キュルケが口を開いた。
「えっとね、この寺院の中には、祭壇があって……、その祭壇の下にはチェストが隠されているらしいの」
「そしてその中に……」
ギーシュがごくりと唾をのみこんだ。
「ここの司祭が、放棄して逃げ出す時に隠した、金銀財宝と伝説の秘宝『ブリーシンガメル』があるって話よ?」
「ブリーシンガメルってなんだい?」
ギーシュが尋ねた。
キュルケは、地図につけられた注釈を読み上げた。
「えっとね、黄金でできた首飾りみたいね。『炎の黄金』で作られているらしいの!聞くだけでわくわくする名前ね!それを身に着けたものは、あらゆる災厄から身を守ることが……」
その夜……、一行は寺院の中庭で、たき火を取り囲んでいた。
ウルキオラ以外は皆、疲れきった顔であった。
ギーシュが、恨めしそうに口を開いた。
「で、その『秘宝』とやらはこれかね?」
ギーシュが指差したのは、色あせた装飾品と、汚れた銅貨が数枚であった。
祭壇の下には、なるほどチェストはあった。
しかし、中から出てきたのは、持ち帰る気にもならないガラクタばかりであった。
「この真鍮でできた、安物のネックレスや耳飾りが、まさかその『ブリーシンガメル』というわけじゃあるまいね?」
キュルケは答えない。
ただ、つまらなそうに爪の手入れをしていた。
タバサは相変わらず本を読んでいる。
ウルキオラは、倒れた木に腰かけ、月を眺めている。
ギーシュは喚いた。
「なあ、キュルケ、これで七件目だ!地図をあてにお宝が眠るという場所に苦労して行ってみても、見つかるのは金貨どころかせいぜい銀貨が数枚!地図の注釈に書かれた秘宝なんか欠片もないじゃないか!インチキ地図ばかりじゃないか!」
「うるさいわね。だから言ったじゃない。『中』には本物があるかもしれないって」
「いくらなんでもひどすぎる!廃墟や洞窟は化け物や猛獣の住処になってるし!苦労してそいつらをやっつけて、得られた報酬がこれじゃあ、割に合わんこと甚だしい」
ギーシュは薔薇の造花をくわえて、敷いた毛布の上に寝転がった。
「化け物や猛獣を倒したのは全部ウルキオラじゃない。それに、化け物を退治したぐらいで、ほいほいお宝が入ったら、誰も苦労しないわ」
険悪な雰囲気が漂った。
しかし、シエスタの明るい声が、その雰囲気を払ってくれた。
「みなさーん、お食事ができましたよー」
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