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横浜事変-the mixing black&white-
勝ち上がる者がいれば、脱落する者だって存在する
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行及び室内調査を求める』
画面の男は自分の警察手帳を阿久津達に見せ付けると、最後にこう言った。
『まあ、拒否されても強制的に物事を進めるがな。逃げるなよ、重犯罪者ども』
*****
自分の所属する組織が陥落したとは知らず、玉木鈴奈は苦い顔をしながら大河内の攻撃を捌いていた。今のところ互いにダメージを負わせる事が出来ていない。
「くっ、そ!」
転ばせる事を目的とした足払いを後ろへのステップで避ける。が、その直後に眼球を狙ったナイフの猛追が彼女に迫った。
ほぼ反射的に自身のナイフで攻撃を押さえた鈴奈。目の前には喜悦に歪んだ大河内の顔があった。
「やっぱり君は凄いなあ。殺しがいがあるよ」
彼はナイフを巧みに使って鈴奈の手から得物を落とした。それを拾おうとするほど彼女も馬鹿ではなく、斜め前に前転の要領で転がっていく。そして少しの隙もなく膝立ちのまま大河内の方を向いた。そのとき鈴奈は拳銃を彼の方に掲げていた。
常人には到底敵わない動きを見せ付けられた大河内は高らかに笑い、ゆっくりと空を見上げた。そこでは依然と数機のヘリコプターがプロペラを唸らせて回り続けている。
「全く、局長は凄いことをするな。この国に殺人大国の時代でも作りたいのかな」
「少なからず、あたしらには似合ってるんじゃない?」
不敵な笑みを浮かべながら皮肉で返すと、大河内は「それは言えてるね」と同意してきた。
「でも今の俺にとってはちょっとイラつく所業だな。僕を裏切るのはまだしも、これじゃあ殺し屋は確実に滅んでしまう」
「別にそれもありじゃないの?あたしはどの世界でも完璧な女の子だからどうでもいいわけでさ」
「まったく、君は本当に人間の『悪』を取り込んだような人間だね。完璧な能力は副産物に違いない」
その言葉に鈴奈は嫌そうな顔をする。そして手に取った拳銃の撃鉄を叩き、銃弾を発射する準備を整えた。
「けれど君もやっぱり不完全だ。男を嫌って嫌って嫌うだなんて、そんなんじゃこの世の繁栄には役立てないよ?」
「あたしは自己中の塊なんでしょ?だったら別にいいじゃん。もしかしてアンタ、あたしに惚れた?だとしたらキモいんですけど」
「ああ、惚れたよ」
間のない返答にさすがの鈴奈もきょとんとした。しかしそれも束の間で、徐々に彼女の表情が強張っていく。それを確かに感じ取り、大河内はさらに言葉で彼女を攻めていく。
「そう、俺は玉木鈴奈に惚れた。君は秀でた才能と顔立ちをしていて愛おしい。今すぐ抱いてしまいたいぐらいだ」
「な、何言って……」
「でも君はいつも人を見下してばかりで、今までできた友達は一人もいない。けれど俺は知ってる。君は誰よりも
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