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横浜事変-the mixing black&white-
人間の殺意は時に向ける先を間違えてしまう
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くる敵に向けた。
しかし。
「……っ!」
――弾がねえ!
カシャ、という間抜けな音が赤島の脳裏に『死』の予感を増大させた。自分の内蔵目掛けて突き出された刃の勢いは止まる事を知らず――
「死ねぇあぁあ!」
そんな敵の奇声と共に、赤島の腹に鋭敏な凶器が侵入していった。せき止められていた水が勢い任せに飛び出すように、腹からやや粘り気のある赤黒の血液がドクドクと出てくる。裂綿隊の殺し屋は手に持ったナイフをさらに奥へ押し込み、いきなりそれを差し引いた。赤島の口から逆流してきた血が吐き出される。
朦朧とする意識の中、身体から力が削がれていくのを感じる赤島。彼は何の抵抗も出来ぬまま後ろに倒れていった。裂綿隊の殺し屋はナイフに付着した血をアスファルトに飛ばすと、嘲笑の声を漏らす。
「ざまぁねえな、赤島。結局、お前はその程度の……」
そのとき、誰かの絶叫が聞こえた。夜の空に点々と浮かぶ星々を見る事しか出来ない赤島は、それがケンジのものだと気付いた。
「ああ、誰だうっせぇな……ゴァッ!?」
殺し屋は自分の言葉を遮った絶叫に顔を
顰
(
しか
)
めたが、突然短い悲鳴を上げ、力なく真横に崩れていった。倒れる直前に目撃した喉仏辺りから突き出た刃の切っ先に、赤島は思わず目を見開いた。そして殺し屋の後ろにいた女の姿を確認して納得する。
「大丈夫ですか、赤島さん」
「これが大丈夫そうに見えるか?宮条」
「いいえ」
そう言って宮条は赤島の前にしゃがみ込み、ゆっくりと左腕をある方向に向けた。そちらに目をやると、ケンジが一人の少年の前で膝を突いて崩れていた。それを見た赤島は、宮条が何を言いたいのかを理解した。
「……アレの償いをしろ、と」
「うちのリーダーなら、例え仲間が死にそうでもこういう決断をすると思うわ。彼は仕事に真剣だから。そしてそれは私も同じ」
「……八幡か。確かに、そうかもしれねぇ」
ずいぶん懐かしい名前だな、と思いながら赤島は咳込んだ。喉が血で圧迫されているのだ。それを間近で見ても、宮条は無感動の瞳を向けるだけで赤島に応急処置を施そうともしない。
「私は赤島さんを良い先輩だと心の底から思っています。けれどね、優しすぎるのよ」
「それはこれまでの俺の行いを見ての感想か?」
「ええ。貴方は誰よりも仲間想いで、仕事よりも仲間を優先する。でもそれは、時に過ちに変化するわ」
「何が言いたい?」
「簡単な話でしょ。暁君は自分と敵を信じて、歩み寄ろうとしていた。仮にそれが間違った行動だったとしても、彼の成そうとしたことを邪魔するのはお門違いよ」
「……やっぱ見てたのかよ。よくそんな余裕があったな」
「
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