暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
物語は一人の人物が思い描く色に染まっていく
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舌打ちをすると低い声で先を促した。

 「質問に答えて下さい」

 「え?ああ、質問な。ハハッ!いやぁ、人間というのは面白いものだ。そうかそうか。なら教えてやろう。私達がどうしてここにいるのかを」

 そう言うと目尻に溜まった涙を手の甲で拭い、尚もニヤニヤしながらこう言った。

 「そんなの簡単だ。お前らの『頭』に呼ばれたからに決まってるだろう」

 その瞬間、空気が凍り付いた。しかしそれは特定の人間――大河内の周りだけだったが。

 そのとき今まで一切口を挟まなかった鈴奈が、「あー」と大げさに首を縦に振りながら、嘲りの言葉を大河内に浴びせかけた。

 「あーあ、残念だったねオーコーチ。あたし頭良いから真相分かっちゃったんだけどさ……結局のところ、アンタは最初から『局長』に踊らされてたってわけね。あのジジイはアンタを利用して、何か別の目的を果たそうとしてるのよ。だからスクランブル出撃のチームDがジジイ直接の指示で動かされた。この先の展開は読めないけど、そこの美女ちゃんの言う通り、アンタはどっかしらで負ける運命にあるってことよザーンネーン!」

 大河内は顔を俯けて沈黙している。前髪で表情の知れない彼を眺め、社長はつまらなそうな口調で語り出した。

 「お前らの頭はまず今回の騒動で私達を巻き込んだことについて詫びたよ。奴はヘヴンヴォイスが横浜に潜伏したその日から我々について調べ上げたらしく、私の目的――横浜に潜む殺し屋についての情報収集も認識していた。そこで自分の計画にヘヴンヴォイスを組み入れ、『ネット上で知り合った設定』の大河内降矢をミル・アクスタートに接触させた。計画が完璧に進むのは当たり前で、こうして私達が日本に渡ることになるのも計算済みってわけだ」

 ここまでキレる人間もいるものだな、と社長は感慨深げに呟き、それから再び言葉を紡ぎ出していく。

 「そもそも奴は組織の人間にすら素性を明かしていないそうじゃないか。オオコウチ、お前はネットで接触してきた心優しいお助けマンに疑問を持たなかったのか?ヘヴンヴォイスの情報を独自に掴める奴なんてそうそういないぞ」

 「……」

 「しかもアイツは、計算通りに私が横浜に来たっていうのに、お詫びの印とか言ってお前らの情報を提供してきた。これで私の目的は完遂したことになるが、正直『してやられた』気分だよ。こんなに悔しいと感じたのは久しぶりだ」

 「ちょ、あたしらの情報って何よ。まさかアンタらいつか暗殺しにくる気なんじゃ……」

 「いやいや、そんな物騒なことするわけないだろう。ただ、持つに足らないというのは今回学んだよ」

 「……それ、あたしらに喧嘩売ってない?」

 「さて、我々は引き上げるとしよう。もうここに用はないんでね」

 「あの
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