暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
物語は一人の人物が思い描く色に染まっていく
[1/6]
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
「社長、どうしてここに」
閃光手榴弾の威力は、くねり曲がった道の一部のみで放たれた。その場にいた裂綿隊、殺し屋統括情報局の殺し屋達は反応に遅れ、目や耳を押さえてうずくまっている。
そんな中で、ヘヴンヴォイスのメンバーと鈴奈は新たな人物の登場に各々の驚愕を顔に浮かべていた。
「こっちの人間は死んでないようだね。よし、なら帰るとしようか」
社長の緊張感のない言葉を聞いたミルは焦った表情で食い下がった。
「しかし、まだ横浜に関する情報が……」
「ああ、そっちは気にするな。私が入手した」
「……っ。そんな」
「ああ、別にお前達を当てにしていなかったわけじゃない。私達は『彼』に呼ばれてやって来ただけなのだから」
第三者を感じさせる意味深な言葉に、ミルを始めとしたヘヴンヴォイス、空気に着いていけていない鈴奈まで頭に疑問を浮かべた。そしてミルが改めて真意を問おうと口を開きかけたのだが――
「それはいったいどういうことか、説明してもらえますか?」
「……オオコウチ」
半身になって後ろにいる男の名を呟いたミル。だが男はそちらを見向きもせずに社長の方を見据えた。
*****
ざらつきのない男の声が静まった戦場に響き、社長はミルや鈴奈のさらに後ろに目を動かした。
そこにいたのはモデル雑誌から飛び出してきたような風貌の美青年だった。だがその表情は困惑と焦り、そして苛立ちが混じり合った険しい色を滲ませていた。
一方でその心情を掴み取った社長はふと顎に手を当て、それから「ああ」と合点がいったとでも言いたげに言葉を紡ぎ出した。
とはいえ、その言葉は大河内にとって聞き捨てならない内容だったが。
「お前が全ての元凶で、噛ませ犬の大河内降矢か」
「……は?」
「いや、そのままの意味だよ。お前が裏で『誰か』からの支援を得ながら、今回の騒動を引き起こした。そして最後に敗北するのもまたお前なのだよ」
社長は涼しい顔をしながら、眼前で呆けた顔をする年上の青年に言葉という重圧を掛けていく。
「そもそもお前は私達が誰だか分かっているか?いや、今は分かっているだろうが最初は知らなかった筈だ。何故ならお前は情報を交換したり委託するだけの分厚い人間関係を持っていないからさ。だからお前は『誰か』の力を借りた。そうだろ?」
「……逆に貴女はどこまで知っている?それ以前に、どうしてここにいる?」
大河内が表情を変えぬままそう聞いた。すると社長は一度目を丸くして、それから腹を抱えて笑い出した。それがあまりに珍しいのか、ミル達も隣にいる大男も驚いた様子で彼女を見ている。
だが大河内の気分は晴れない。誰にも聞こえないボリュームで
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ