第百八十九話 その一手その十一
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「そうするしかない」
「そして何とか毛利の戦を終わらせ」
「そのうえでじゃ」
「東に戻り」
「三つの家を平らげる」
このことは何があってもしなければならないというのだ、こうした話をしてだった。
丹羽はあらためてだ、三人に言った。
「とにかく毛利との戦は時は味方ではない」
「我等にとっては」
「とても」
「そういうことですな」
「だからじゃ」
それだけにというのだ。
「殿もお考えなのじゃ」
「戦を早く終わらせる」
「必ずや」
「そういうことじゃ、だからな」
「我等もですな」
「そのことを頭に置き」
「毛利と戦おうぞ」
丹羽は前田と金森に言う、そして。
慶次にもだった、こう言うのだった。
「御主もそのことはわかっておるな」
「無論」
明るい笑みでだ、慶次は前田に答えた。
「そのことは」
「ならよいがな」
「はい、しかしそれがしは」
「やはりその朱槍で戦うだけか」
「そうするだけでございます」
それが彼の戦の仕方だからだというのだ。
「この戦も」
「あくまで将ではないか」
「それがしは将ではなく武士です」
そちらになるというのだ、自身は。
「どうも兵を率いての戦は性に合いませぬ」
「御主はそうしたいくさ人じゃったな」
「大ふべん者であります故」
「全く、そこがな」
丹羽も慶次のそうした気質はわかっている、それで笑って言うのである。
「御主らしくもあるが」
「それでもでありますか」
「将も必要じゃがな」
「それなら叔父御もいますし」
前田のことに他ならない。
「他にも大勢おられますので」
「だから御主はか」
「はい、いくさ人でいます」
そう言って乗っているその見事な馬の首をぽんぽんと叩きそのうえで話す。
「松風と共に戦をするだけです」
「そうしてその朱槍でじゃな」
「強い相手を倒すだけです」
「そういうことじゃな」
「左様です、それでは」
「うむ、ではな」
それではと話してだ、そのうえで。
慶次は秀家達を見てだ、また言うのだった。
「あの御仁も」
「宇喜多殿か」
「きっと見事な将になりますぞ」
「そうじゃな、あの御仁はな」
丹羽もその通りだと述べる。
「やがてな」
「そうでありますな」
「あの宇喜多殿の息子とは思えぬ」
宇喜多直家と比べて、というのだ。
「とてもな」
「いや、実は秀家殿にそうなって欲しいと思われて」
宇喜多が、と言う慶次だった。
「秀家殿を育てられたのやも」
「ううむ、そうであろうか」
「はい、そうではないかとも思いますが」
「まさかとも思うが」
「そうしたことも考えられます」
こうしたことも話した、織田軍は備中に入ろうとしていた。そしてそこで毛利家の主である元就との戦の
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