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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第1章 群像のフーガ  2022/11
8話 反撃の意思
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れてグラディエイターの体外へと飛び出す。細剣二連撃技《オヴリール》こそ、今や《リニアー》に次ぐ相棒の得意技である。


「スイッチだよ!」


 救援に駆けつけてくれたヒヨリに言葉を返す時間も惜しみ、踏み込みの勢いを乗せつつレイジハウルを振り下ろす。単発技《バーチカル》のアシストによって加速した刃は、たたらを踏むグラディエイターの肩口に噛みつくように捉えるや否や、耳に残る切断音を盛大に立て、赤いダメージエフェクトを刻み込んで地に伏す間もないうちに爆散させる。


「E隊、G隊、出口方向に十歩下がれ! ボスを囲まなければ範囲攻撃は来ない!!」


 遅れて現れたキリトの指示で、キバオウの率いていたPTは左右に分かれながら、呆然自失となったリーダーを残して後退する。未だに膝を付くキバオウに対し、キリトは一瞬だけ心情を察するような表情を向けるものの、次の瞬間には《アニールブレード》を握りしめてコボルド王に向き直って駆けだす。復帰したコボルド王の刀をスキルで受け止めると、その背後に追従したアスナが《リニアー》を叩き込む。刀を知るキリトだからこそ適切な対応で攻撃を捌けているが、E隊G隊は戦意喪失、その他の隊は前線で暴れたコボルド王や取り巻きによって甚大な被害を被っており、助太刀は望めない。


「俺達も行くぞ」
「うん!」


 ヒヨリの声が聞こえるのも待たずにコボルド王に向けて駆ける。現状でキリトは自分たちだけでボスをどうにかしようとは考えていないだろう。周囲のプレイヤーの回復を行えるだけの時間稼ぎのつもりで立ち回っているはずだ。ならば、俺達の指針も自ずと彼等のサポートということになる。


「俺も捌く。ヘイトを分けろ」
「リン………すまない、助かる!」


 ヒヨリはアスナと同様の攻撃役に回らせ、俺はイルファングの刀に意識を集中させる傍ら、脳内で刀を携えたモンスターとの戦闘の記憶をより細部まで呼び覚ましていた。
 ベータテスト時代、それまで順調に攻略されていた浮遊城はいよいよ十層にプレイヤーを迎え、そこで牙を剥いた。刀スキルの出現である。それまで、誰も所持していなかった刀という武器に対して多くのプレイヤーが熱狂し、期待に胸を膨らませたものだが、同時に対峙する敵としては極めて大きな壁だったといえる。結局、刀スキルを使用するモンスター《オロチ・エリートガード》の湧出場所を突破することが叶わずに10層のボスを見ることなくベータテストは終了してしまったわけだ。俺自身も隠しダンジョンで対峙した刀持ちである鎧武者風アンデッド《ヘイケ・レブナントロード》に手こずって最奥のボスや装備を拝むことなく終わってしまったが、それでもスキルに対しての対策を身につけられたのは幸いだった。
 サイズや姿こそ違うものの、コボルド王も平家の武
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