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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第1章 群像のフーガ  2022/11
8話 反撃の意思
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ーはソードスキルの種類が未知数で警戒が必要な上に、センチネルも同様にソードスキルを扱うようになっている可能性も考えられる。
 湧出した場所もE隊G隊とボスとを遮るような位置取りで、二隊はそのまま勢いを緩めることなく猛進。取り巻きコボルドと激突する。
 その時、前線で暴れていたコボルド王が止まり、あろうことかE隊G隊を目掛けて吶喊したのである。それまで執拗に攻撃していた前線からタゲが逸れたことで幸いにも犠牲者はいなかったが、それは個々の憎悪(ヘイト)が溜まっていなかった為に攻撃がランダムにばらけたことによる。だが、今回はどういったアルゴリズムに則った行動かは知らないが、グラディエイターを含めた取り巻き五匹とコボルド王を同時に相手するのは分が悪い。既にグラディエイターから繰り出される多彩なソードスキルに翻弄され、混戦するなかでセンチネルの弱点も突けずに無駄撃ちが多くなる。
 しかし、イルファングが短い咆哮をあげると、それを合図に取り巻き達が入れ替わりで一斉に前線へと向かう。取り巻きとボスを同時に戦闘を行うという窮地は回避されたものの、配下達と擦れ違った際にコボルド王は体勢を大きく沈めて長大な刀を腰に据え、地面を蹴って距離を詰める。刀に血のように赤いライトエフェクトを宿して………


「来るで、G隊構えや!」
「違うッ! 待つな!」


 叫び声も空しく、赤い光を纏った刀はキバオウの指示で前衛に出た両手槍使い三名を横薙ぎに斬り付ける。視界に捉えられないほどの速度で放たれた斬撃は槍使いが吹き飛ぶのも許さないと言わんばかりに軌道を返して、逆袈裟の軌道で襲い掛かる。

――――刀スキル居合系突進二連撃技《舞燕(マイツバメ)》。

 前衛の槍使いがクリティカルヒットを受けてHPを二割残す程度まで削られ、キバオウの指示が途切れる。居合系のソードスキルは準備動作(プレモーション)にこそ溜めによって時間が掛かるものの、一度発動したスキルは速過ぎて《見て止める》のは不可能と言っても過言ではない。彼等は初手から失策を講じてしまったことになる。そして、それは取り返しようもない事態となってしまっている。
 一度吹き返した士気も未知のソードスキルを体験したことで完全に挫かれたらしい。ある者は出口に遁走しようと武器を捨て、ある者は絶望して腰を抜かす。前線だった地点では、《グラディエイター》や《センチネル》と戦うエギルやA隊リーダーの他に数名が散見されるが、彼等の働きで未だ犠牲者は出ていない。同時に、まともに動けるプレイヤーは戦闘に付きっきりでE隊G隊への救援ができない状態だ。
 硬直から抜け出したコボルド王は再び居合の構えをとり、再度キバオウの部隊に攻撃を仕掛けようとしていた。この一撃が徹れば間違いなく壊滅する。しかし、冷静さを欠いた新規プレイヤ
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