第10話 3人の少女、亡霊に挑む
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追い詰められたからな…そして2度目の戦いは良かった。言葉使いは幕末の頃に戻り、逆刃刀などというふざけた刀を使っていたがそれでもあの時の奴の眼はまさに伝説の人斬り様の復活だった」
星は見えないが代わりに見える月を見上げ、刃衛は三日月のような歪んだ笑顔で続けた
「あれこそ俺が追い求めた生と死の狭間の瞬間だった……戦いに負け、俺に勝ったあの男に斬られるはずだった……だがあの男は『もう人は斬らない』と腑抜けたことを言ってきた。だから俺は己の刃で自分の最期を迎えた」
刃衛のその告白に千鶴は一つの疑問が浮かんだ
「『最期を迎えた』って…鵜堂さん貴方まさか…っ!」
「そう、俺は一度死に、地獄に落ちたのだが何故か再びこの世界で2度目の生を受けた」
「「「っ!!!」」」
「そして俺をこの世界に飛ばしたあの女から『雪村千鶴と土方歳三がこの世界にいる。今後の為にも奴らを監視しろ』という命を受けてな。ここ数日はお前たちの様子を見ていた。そしてあの女から『土方の力量を知りたい。手段は問わないから奴と戦え』という命を受けたのでな。副長を本気にさせるならお前を攫うのが手っ取り早いからな。一緒に来てもらうぞ?雪村……」
そう言った刃衛は千鶴の腕を掴もうとするが美琴とカナが彼女を守るように前に出た
「ん?何だ小娘ども、俺は雪村に用があるんだ。邪魔をするな……」
刃衛は美琴とカナに対して煩わしそうに睨みつけるが美琴は刃衛の視線を逆に睨み返し、啖呵を切った
「ふざけんじゃないわよ…グダグダ喋っていたけどつまりアンタは土方先生と殺し合いたいから千鶴さんを攫おうとしてるんでしょ!?アンタのそんな下らない理由のために千鶴さんを渡すと思ってんの…!?なめんじゃないわよ!!」
「千鶴さんに触らないで!!」
美琴は砂鉄の剣を、カナは両手に念動力を集中させ、戦闘態勢に入った。刃衛はそんな2人に僅かながら感心していた
「ほう…これは意外。割と様になってるではないか」
刃衛が呟くと同時にカナは念動力の衝撃波を、美琴は鞭のように伸びた砂鉄の刃を刃衛に向けた
「念動ぅぅぅぅぅぅっ!!真空の槍!!!」
カナが念動力で生み出した空気の槍…つまり見えない槍が刃衛を襲うがまるで見えているかのようにアッサリとかわしていく。
美琴も負けじと砂鉄の剣を振り下ろすがこれも刃衛には通用しなかった。
「…意外と様になっていたが所詮殺意の無い攻撃。このような輩は素手で充分…いや………」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「念動ぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
2人は刃衛の言葉に一切構わずに襲うがまるでハエをあしらう様に一言つぶやいた
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