温泉旅行(中編/1日目)
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は上半身と下半身を切り裂かれ、様々な出来事が起こった。
それを「サトコの崇り」と村人たちは口をそろえてそう言った。
それから何千年後、その土地に「二階堂旅館」が建てられた、と和服を着た女性が俺に教えてくれた。
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「――って言われたんだが、信じれるか?」
『そう言われても……。僕心霊系そこまで信じないし……恋也に聞いてみたら?』
「嫌に決まってんだろ」
『何で?』
「何でって……お前に言う必要ねぇだろ」
『素直じゃないね、りとも恋也も。ま、僕には関係がない事だけど、夜中目が覚めないようにね』
「あ!おい!!……切るなよ」
一番下の弟に先ほど聞いたことを伝えてみたのだけど、全く信じてもらえず通話は終了した。
僅かにゲームの音が漏れて聞こえていたのでゲーム中だったのだろう。
素直じゃないと言われた事にはあえて反応せずに、端末を仕舞いあまり気が進まないが梅の間に戻る。
戸の前で大きく溜息を吐き、頭を掻いて、再び溜息を吐いてから戸を開けた。
まず目にしたのは障子で俺の目の前で閉まっていた。
さっきは開けっ放しで出てきたため恋也が閉めたのだろう。
障子越しにぼんやりと影が映っているのを確認して「おい」と声をかける。
「…………」
障子越しの影はゆっくりと振り返ったように思われる。
影は動いていた訳ではなく、ただぼんやりとそこに居た。
その影に声をかけて、影が振り向いたのは良いが何となく違和感を覚える。
どうみても弟の影には見えない。
髪の毛がボブカットで和服を身に纏っているのようなそんな気がする。
嫌な予感がした。
ゴクリ、唾を飲み込み半歩後ろに下がったのと同時にその影が、動いた。
手招きをしながらどんどん近付いてくる。
そして障子の目の前に来て、ゆっくりと本当にスロー再生のように手が伸びて、障子が開いた。
「……は?」
障子は開いたのに誰も居ない。
俺が見ているのはただの「梅の間の部屋」で特に変わった事はない。
一気に力が抜け俺はそのまま床に倒れた。
気が張って疲れていただけなんだとそう思い仰向けになって息を整える。
背中には冷や汗を掻いて、いつの間にか呼吸も乱れていて薄気味悪かった。
「りと?」
「うわぁぁ!!……何だ、お前か……」
急に恋也が現れた。
上から覗き込む様に声を掛けられて一瞬驚きで飛び起きたが、弟だと気付けば少しの恥ずかしさがある中、安心感が襲った。
「お前かって……声かけたのにも関わらずぼんやりして、急に横になって何してた?」
「何してた?じゃねぇよ。和服着た奴がその障子の前に居て、そいつが急に動いて影が障子開けたら誰もいねぇし……」
「俺ずっと此処に居たけど」
「は?」
恋也がこの部屋に居て
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