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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八話 一時の憩い
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算が有るという人間も居る」
「……卿はどう思うんだ?」
「私の見るところでは勝算は二パーセント、かな。ゼロじゃないだけましだ」
「……」
耳を疑った。私だけじゃない、艦橋の皆が驚いている。冗談かと思ったがヴァレンシュタイン提督は平静な表情で紅茶を飲んでいる。ミュラー提督は無言のままだ。その後、少しの間二人は他愛ない話をしていた。主に士官学校時代の話だ。何度も何度も笑い声が上がった。そしてヴァレンシュタイン提督は帰って行った。ヴァレンシュタイン提督もミュラー提督も特別に別れを惜しむような事はしなかった。また会える、そう思っているのだろうか。
「二パーセントか……」
「本気でしょうか? 冗談を言っているようには見えませんでしたが……」
ミュラー提督の呟きにオルラウ参謀長が問い掛けた。ミュラー提督が参謀長を見た、提督は深刻そうな表情をしている。
「私はエーリッヒ・ヴァレンシュタインという男を知っている。例え二パーセントでも可能性が有るなら、その可能性を手にするために死力を尽くすだろう。実際我々はとても優位に戦争を進めているとは言えない状況だ。厄介な男を敵に回してしまったよ……、この内乱は酷い戦いになりそうだ」
そう言うとミュラー提督は大きく息を吐いた。
帝国暦 488年 6月 10日 アルテナ星域 レンテンベルク要塞 ナイトハルト・ミュラー
「大丈夫かな、ケンプ提督は」
「キルヒアイス提督が居ればローエングラム侯に取り成してくれるだろうがオーベルシュタイン総参謀長ではな……、控えめに言っても期待は出来んだろう」
ケスラー提督とメックリンガー提督の会話に皆が頷いた。
アムリッツア会戦の後、大失敗をしてローエングラム侯に叱責されたビッテンフェルト提督をキルヒアイス提督が取り成した事は皆が知っている。オーベルシュタイン総参謀長が何もしなかった事も。ローエングラム侯に報告しているであろう、叱責を受けているであろうケンプ提督の事を考えると溜息が出そうになる。
「ミュラー提督、オフレッサーが生きているのは間違いないのか」
「間違いありません、スクリーン越しでは有りますが姿を見ました。ヴァレンシュタイン提督にも確認しています。オフレッサー上級大将はもう少しで裏切り者として殺されるところだったそうですがヴァレンシュタイン提督がそれを止めたそうです。それを恩に着て今では一緒に行動しているとか」
俺が答えるとビッテンフェルト提督が“フン”と鼻を鳴らした。
「だから俺は直ぐに殺すべきだと言ったのだ。奴一人の所為でまた数多の兵士が死ぬ事になるぞ!」
「同感だ、オフレッサーを貴族共に殺させる等と言っていたが……、役に立たん! 策士策に溺れるとはこの事だな」
ビッテンフェルト提督とロイエン
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