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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八話 一時の憩い
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「内乱というのは……、嫌だね。知っている人間と殺し合わなければならない。おまけに如何いうわけか殺したくない人間ばかり敵になる」
「……そうだな、同感だ」
「ケンプ提督が早めに降伏してくれた事には感謝している。あの人は子供が二人いる、それにまだ小さい。ケンプ提督が戦死していたら……、悪夢だよ」
ヴァレンシュタイン提督が首を横に振っている。不思議な事だ、この人は勝っても喜んでいない。

「オフレッサー上級大将を見たが?」
「ああ、もう少しで貴族達に裏切り者として殺されるところだった。だが私が止めた、彼が裏切るなど有り得ないからね。オーベルシュタイン総参謀長殿も小細工をする……」
ヴァレンシュタイン提督が微かに笑みを浮かべた。間違いなく総参謀長を嘲笑している。

「……卿と行動を共にしているのか」
「借りを返すと意気込んでいるよ。如何いうわけか私の所にはそんな人間ばかり集まってしまった。戦争は勝つために行うはずなのに……、馬鹿げているな。もっとも私自身、ブラウンシュバイク公に借りを返すために戦っているのだから彼らを拒絶する事も出来ない、困ったものだ」
自嘲するかのようなヴァレンシュタイン提督の言葉にミュラー提督が視線を伏せた。切なそうな表情をしている。

「そんな顔をするな、ナイトハルト。こうなったのは卿の所為じゃない」
「……」
「あの時は仕方なかった。帝国軍三長官に睨まれた兵站統括の中尉を救えるのは大貴族しか居なかった。だから卿はアントンに話をした、私を救うためだ。そうだろう?」
ミュラー提督が“ああ”と小さく答えた。視線は伏せたままだ。

「ブラウンシュバイク公の庇護が無ければ私はとっくの昔に戦死している」
「……」
「卿は正しい選択をした。それは私が保証する、だから悩むな、後悔するな。ナイトハルト・ミュラーにはそんな顔は似合わない。私は卿に出会えた事を感謝しているよ、卿は私の大切な友人だ」
ミュラー提督がまた“ああ”と小さく答えた。提督は今にも泣き出しそうだ。艦橋のオペレータ達も皆顔を伏せている。

「誤解しないでくれよ、ナイトハルト。卿は私の大切な友人だ。しかし戦場では卿を殺す事を躊躇ったりはしない。機会を得れば無慈悲なほどに捻り潰すだろう。だから卿も私を殺す機会を得たら躊躇うな」
「分かっている」
「卿はローエングラム元帥府では十分な立場を築いていない、その事も忘れるなよ」
“分かった”と言ってミュラー提督が頷くとヴァレンシュタイン提督も頷いた。ヴァレンシュタイン提督は優しい眼でミュラー提督を見ている。何故この二人が戦う事になるのか、そう思った。

「エーリッヒ、勝てるのか?」
「……貴族連合には色々な意見の人がいるよ。絶対勝てると言う人間も居ればアントンのように二十パーセントくらいは勝
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