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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八話 一時の憩い
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ッヒが不安に感じてもおかしくは無い。

『分かった、一時間以内に宣言する』
「よろしくお願いします。一時間を過ぎますと時間稼ぎをしていると判断して撤退するそうです」
『そんな事はしない』
益々不愉快そうな表情だ。でも悪いのは俺じゃない、エーリッヒと信用の無いオーベルシュタイン総参謀長だ。耐えるんだ、ナイトハルト。

「それと」
『未だ有るのか』
「旗艦スクルドの艦橋にオフレッサー上級大将の姿を確認しました」
ローエングラム侯がオーベルシュタイン総参謀長を睨んだ。不愉快の極み、だな。
『……ご苦労だった、ミュラー提督。宣言は必ずする、卿は捕虜を受け取りレンテンベルク要塞に帰投せよ』
冷え切った声だった。敬礼をする前に通信が切られた。リューベックの彼方此方から息を吐く音が聞こえた。



帝国暦 488年  5月 22日    シャンタウ星域 ミュラー艦隊旗艦 リューベック ドレウェンツ



「ナイトハルト、ローエングラム侯に上手く話してくれた事、感謝している。助かったよ」
「いい気なものだ、こっちは寿命が縮むような思いをしたよ」
ミュラー提督がぼやくとヴァレンシュタイン提督が軽く笑い声を上げた。和気藹々、そんな二人を艦橋のオペレータ達は困惑しながら見ている。

「今も寿命が縮むような思いをしているんじゃないか。私がここに居る事を総参謀長が知ったら如何思うかな?」
「知りたくもないね。卿は無茶ばかりする、私は振り回されてばかりだ」
またヴァレンシュタイン提督が笑い声を上げた。ミュラー提督を信じている、自分の身が危険だとは微塵も思わないらしい。

ローエングラム侯が広域通信で二十四時間の軍事行動の停止を宣言するとヴァレンシュタイン提督は直ぐに艦隊を我々の艦隊に接近させた。そして捕虜の移乗が始まると単身、リューベックに乗り込んできた。リューベックの乗組員は唖然、ヴァレンシュタイン提督は平然、ミュラー提督は溜息、そして今、二人は紅茶を飲んでいる。

「それで、何の用だ?」
「用が無ければ訪ねては行けなかったか? 私達は友達だろう?」
ミュラー提督が溜息を吐きヴァレンシュタイン提督が肩を竦めた。
「分かったよ、教えて欲しい事が有る。ミッターマイヤー提督の具合は如何かな。酷い怪我をしたと聞いているが……」
妙な感じだ、怪我をさせたのはヴァレンシュタイン提督なのだが……。

「命に別状は無い、怪我は酷いが半年もすれば軍務に復帰出来る筈だ」
「そうか、良かったよ、それは。フラウ・ミッターマイヤーも一安心だろう」
ヴァレンシュタイン提督が大きく息を吐いた。
「知っているのか?」
「いや、会った事は無い。だが仲の良い夫婦だと聞いている」
「……」
ミュラー提督が何かを言いかけて一口紅茶を飲んだ。
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