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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七話 二パーセント
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レンシュタインはミュラーと戦う事を出来るだけ避けようとしている。親友だからではない、その方が戦局を有利に進められる、そう思っているようだ。場合によっては寝返らせるか、或いはローエングラム侯の手で粛清させるか、そこまで考えている。非情としか言いようがない。ヴァレンシュタインが持つ情の厚さを思えばその苦衷は胸を掻き毟らんばかりだろう。だがそれでも彼はそれに耐え勝つ事を模索している。

コルネリアス・ルッツ、彼は辺境星域でキルヒアイス提督、ワーレン提督と共に戦っている。当分俺が彼と戦う事は無いだろう。だが辺境星域の平定が終わればルッツは本隊に合流する筈だ。そうなれば戦力を増強したローエングラム侯は攻勢を強めてくる。ルッツとも戦場で戦う事になるのは間違いない。

「二パーセントか……」
「閣下?」
副官のザンデルス大尉が訝しそうな表情をしている。いかんな、思わず口に出たか。
「いや、なんでもない。気にしないでくれ」
「はい」

先日、皆で飲んだ時改めて勝つ可能性をヴァレンシュタインに訊いたがやはり答えは二パーセントだった。理由は最終的には戦場でローエングラム侯を殺さねばならない、しかしどう見ても殺せそうにない、どうすれば彼を斃せるのか、そこが見えてこない、そう言っていた。そして貴族連合は弱点が多すぎるとも……。

“ローエングラム侯を相手に中途半端な勝利は有り得ません。どちらかが滅ばざるを得ない。その辺りを貴族達がどの程度理解しているか……、不安が有ります。このままで行けば戦線が膠着し長期戦になる可能性も有りますが長期戦は明らかに貴族連合に不利です。そうなれば結束の弱い貴族連合は常に分裂、離散の危険が有ります”

“貴族達に我々は勝てるのだという希望を与え続けねばなりません。希望が有る限り貴族連合は一つで有り続けるでしょう。しかし希望が無くなれば、その時から貴族連合の終焉が始まります。裏切り、逃亡者が続出するでしょう。悲惨な結末が待っていますね”

希望を与える、つまり俺達が戦場で勝ち続ける事だ。勝ち続ける限り貴族達は俺達が居れば何とかなる、ローエングラム侯に勝てると思うだろう。そして俺達に縋り付く筈だ。だが貴族を餌にするのも今回が最後、となれば徐々に徐々にだが勝つための条件は厳しくなっていく。これから先どうやって貴族達に希望を与えるのか……。

「索敵部隊から報告! ヴァレンシュタイン艦隊、ケンプ艦隊を確認! 予定宙域です!」
「状況は! どちらが勝っている!」
ブクステフーデ参謀長が怒鳴るようにオペレータに状況の確認をした。
「ヴァレンシュタイン艦隊はケンプ艦隊を半包囲下においています!」
オペレータの答えに爆発するような歓声が艦橋に上がった。良し、今回は貰った。後はクレメンツ提督が来れば包囲は完成
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