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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六話 釣り上げる
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こちらが損ですから」
エーリッヒの答えにオフレッサーが唸り声を上げた。

「卿、逃げるとか平然と言うのだな」
「負けるも使いますよ、昔それでシュターデン教官に嫌がられました」
オフレッサーが吼えるように笑い出した。こいつ本当に人間か? 熊が吼えたのかとかと思ったぞ。
「分かるぞ、さぞかし可愛げの無い候補生だったのだろう」
「可愛げで戦争は出来ません」
エーリッヒがぶすっと答えるとリューネブルク中将も吹き出した。耐えるんだ、アントン。参謀長は司令官を笑ってはいかん。

「笑っても良いぞ、アントン」
「……」
「遠慮するな、鼻がヒクついている」
吹き出してしまった。
「済まん、エーリッヒ、でもな、……」
また吹き出してしまった。済まん、笑いが、耐えられん。オフレッサーとリューネブルク中将も笑っている。仏頂面のエーリッヒを一人置いて三人で一頻り笑った。オペレータ達がフォトを撮っているのが分かったが止まらなかった。

エーリッヒが話し始めたのは俺達がたっぷり三分は笑った後だった。
「正直援軍については余り心配していない。ローエングラム元帥府の指揮官達はこの手の共同作戦は苦手だろうと私は見ている。増援が二個艦隊でも慌てずに対処すれば逃げるのは難しくない筈だ」

三人で顔を見合わせた。オフレッサーは右手で顎髭を撫でている。
「どういう事だ、エーリッヒ」
エーリッヒはチラッと俺を見たが直ぐに正面に視線を向けた。拙い、怒ってるな。
「彼らの多くは前線で武勲を上げて昇進してきた、他者の力を借りず、自分の力だけでね。彼らは共同作戦を執れるだけの力量と相性の良さを持つ相手に巡り合えなかったんだ。それが出来たのはミッターマイヤー提督とロイエンタール提督だけだった。極めて希な事だ」
なるほど、以前もミッターマイヤー提督とロイエンタール提督の事は言っていたな。ミッターマイヤー提督を叩いて二人の連携を阻んだのは大きいと。

「分かるだろう? 彼らにとって同僚というのは協力者であるよりも競争相手という認識が強い。明確な序列が有ればともかく現状では宇宙艦隊に所属する同格の一艦隊司令官に過ぎない。この場に増援が二個艦隊現れても誰が指揮を執るか、進むか退くかで揉めるだろう。現れる指揮官を想像してみれば良い、素直にケンプ提督に協力すると思うか」
そう言うとエーリッヒは“ロイエンタール、ビッテンフェルト、メックリンガー、ケスラー、ナイトハルト”と名を上げだした。

「なるほどな、素直に協力しそうなのはナイトハルトだがそれでもケンプ提督と上手く行くかと言われれば疑問だな。むしろナイトハルトはメックリンガー提督、ケスラー提督の方が上手く行きそうだ」
ビッテンフェルト、メックリンガー、ケスラー、どれもケンプ提督とは上
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