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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五話 死に場所
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思っているのだろう、その可能性は有る。だが戦火を交えるには未だ距離が有る。先ずは相手を確定する事だ。

「艦艇数多数、約二万! ゆっくりと近付いてきます!」
艦橋がザワッとした。オペレータの報告が悲鳴のように聞こえたのは俺だけではあるまい。艦艇数二万か、こちらより五千隻程多い。おそらくはヴァレンシュタインだ。ブラウンシュバイク公爵家でも最大の兵力を任されている。それだけの信頼を得るだけの働きもしている。凶暴でデカい熊を目の前にしている様な気分になった。部下達の視線を痛い程に感じた。

「艦隊を後退させろ、敵艦隊との距離を保て」
俺の出した命令をフーセネガーがオペレータに伝えていく。大丈夫だ、俺の声は平静だった。オペレータ達も落ち着いている。ヨーツンハイムが動きを止め後退を始めた。速度を落していたせいだろう、スムーズに前進から後退へと切り替わった。

さて、如何する? 念のため、先ずは相手を確認する事だな。
「戦艦スクルドを確認! スクリーンに投映します!」
一気に艦橋の空気が緊迫した。やれやれだ、命令する手間は省けたが余り嬉しい報せではない。スクルドがスクリーンに映った。ヴィルヘルミナ級を元に造ったため改ヴィルヘルミナ級とも言われるノルン級旗艦戦艦の四番艦だ。

「総司令部に連絡、我ヴァレンシュタイン艦隊と遭遇。現在距離を保って対峙中。指示を請う」
俺の指示を聞きオペレータが一心にキーボードを操作している。さて、総司令部がどう反応するか……。戦えと言うか、退けと言うか、或いは増援を送るから引き止めろと言うか……。何も言わずに撤退した方が良かったかもしれんな。

スクリーンに映るスクルドはヨーツンハイム程ではないが大きい。そして重厚感はヨーツンハイムを上回るだろう。ヴィルヘルミナ級に比べると多少武装を落とす事で軽量化を図りそれによって高速を得たと聞いている。そして特徴的なのは通信機能が充実している事だ。打たれ強くしぶとく戦う、貴族らしくない泥臭い艦だ。

まあ、それも当然か。艦の設計にはヴァレンシュタイン、クレメンツ、ファーレンハイトの意見が大きく反映されたらしいからな。一番艦ノルン、二番艦ウルズ、三番艦ヴェルザンディ、それぞれブラウンシュバイク公、クレメンツ、ファーレンハイトが乗艦としている。そして四番艦がスクルド、ヴァレンシュタインの乗艦だ。

「総司令部より入電! 増援を送る、三日間敵を引き止めよとの事です!」
艦橋が凍り付いたように静まった。三日か、近くに味方が来ているという事だな。しかし三日とは……、微妙な日数だ。ヴァレンシュタイン相手に三日持たせる……、厳しい任務になった、一つ間違えば各個撃破になりかねん。フーセネガーが心配そうな顔をしていた。敢えて笑って見せた。指揮官を務めるのも容易では
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