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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五話 死に場所
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攻撃を集中した。敵はこちらの動きについてこれない、翻弄されている、右往左往だ。
「如何なされますか」
フーセネガー参謀長が問い掛けてきた。少々心配そうな顔をしている。
「深追いはせん。追撃はするが適当な所で打ち切るつもりだ」
「はっ」
フーセネガーがホッとしたような表情をしている。
「安心しろ、参謀長。俺もヴァレンシュタインから伏撃などは受けたくないからな」
「はっ」
フーセネガーが大きく頷いた。いかん、かなり深刻だ。
ミッターマイヤーが敗れた。完璧な勝利から一転、完膚なきまでの敗北。狙い澄ました一撃だった。シュターデンという獲物を狩立てたミッターマイヤーをヴァレンシュタインは無慈悲な一撃で仕留めた。ゼーアドラー(海鷲)で見た大人しげな印象とはまるで違った。
肉食獣を狩る獰猛で冷酷な肉食獣、そんな印象が有る。内乱勃発前、ローエングラム元帥府に有った貴族連合軍への蔑視は今ではもう無い。今あるのはヴァレンシュタインへの言い様の無い恐怖感だ。フーセネガーもその恐怖感を十二分に感じているのだろう……。
「閣下、敵が崩れます」
他愛ない敵だ、だが口には出来ない。それを憚る雰囲気が有る。
「参謀長、このまま追撃するぞ。但し周囲には気を付けろ、敵が潜んでいる可能性が有る」
指示を出すとフーセネガーがオペレータ達に命令を下した。オペレータ達が頷いている。今一つ波に乗り切れない、そんな感じがした。
痛かったな、あの敗戦は痛かった。損失を見れば痛み分け、少しこちらの分が悪い、そんなところだ。しかし敗け方が悪かった。大勝利から一転、完膚なきまでの敗戦だ、初戦だった所為か皆の心に強烈に焼き付いている。勝っていても安心出来ない、そういう意識がこびり付いてしまった。
昂揚感が無い。スクリーンに映る敵の敗走を見ても心が浮き立たない。何処かでヴァレンシュタインの影に怯えながら戦っている様な気がする。いかんな、やはりミッターマイヤーが居ないのは痛い。戦力的にも痛いが明朗快活な奴が居ないとどうも元帥府の、軍の雰囲気が沈みがちだ。それにロイエンタール、ミッターマイヤーが居ない所為で奴は孤立しがちだ。その事も雰囲気を悪くしている。どうも面白く無い。
切っ掛けが要るな。ヴァレンシュタインの影を払拭し軍の士気を昂揚させる切っ掛けが。一番良いのはヴァレンシュタインを戦場で破る事だが……。
「前方より艦艇群が接近! 敗走する貴族連合軍を後方に逃がしつつ接近してきます!」
オペレータが甲高い声を上げた。新手か! 艦橋の空気が一気に慌ただしくなった。
「閣下」
「落ち着け、参謀長。艦隊の速度を落させろ」
フーセネガーがオペレータに指示を出した。顔色が良くないな、やはり怖がっている。ヴァレンシュタインだと
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