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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五話 死に場所
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りエグイ事をしてるんだが……。

「まあ確かに卿に借りは有る、それは返さなければならん。だがそれだけではないぞ」
「……」
「卿なら俺に最高の戦場を用意してくれそうだと思ったのでな」
「……最高の戦場?」
エーリッヒが眉を寄せている。オフレッサーが“そうだ”と言って頷いた。

「この俺がヴィクトール・フォン・オフレッサーとして闘える戦場だ。俺でなければ戦えない戦場、他の誰でも無く俺だけが戦える戦場……」
この親父、死にたがっているのか……。
「……レンテンベルク要塞では随分と奮戦したはずですが」
オフレッサーがフンと鼻を鳴らした。

「納得出来んわ、最後は落とし穴に落とされたのだぞ」
それはあんたが間抜けなだけだろう。ロイエンタールとビッテンフェルトの二人目掛けて突っ込んだら床が落ちたとか。頼むからこっちにそのデカい尻を持ち込むな。
「死に場所を探しているのですか?」
エーリッヒが問うとオフレッサーが唸り声を上げた。

「……そうかもしれん。あの小僧に嵌められた。もう少しで裏切り者として殺されるところだった。この恥辱を雪ぐ為なら、殺された部下達の無念を晴らす為なら死も厭わん」
「……」
「如何だ? 卿なら出来ると思ったのだが」

オフレッサーが見下ろしエーリッヒが見上げる。二人の視線がぶつかった。一、二、三、ゆっくりとエーリッヒが立ち上がった。オフレッサーに近付く。
「御希望は分かりました。ですが約束は出来ません。或いはこれからそういう戦場が現れるかもしれません。その時は閣下にお願いします。それで良ければどうぞ」
「うむ、その時は頼むぞ、俺が居る事を忘れてくれるな」
そう言うとオフレッサーは“邪魔したな”と言って部屋を出て行った。

オフレッサーが出て行くのを見届けてからエーリッヒが席に戻った。
「良いのか、オフレッサーを受け入れて」
「武勲が欲しいと言うのなら断ったよ。だが死ぬ事も厭わないと言われてはね」
「断れないか」
エーリッヒが頷いた。

「妙なもんだな、また一人借りを返していないとか死ぬのも厭わないとか言いだした。困った人間ばかりここには集まってしまったよ」
俺の言葉にエーリッヒが笑い出した。
「賢い奴はローエングラム侯の所に行ったよ。ここに残ったのは困った奴じゃない、損得勘定の出来ない馬鹿と大馬鹿と底無しの大馬鹿さ」
酷い言い方だが事実でもある。そして俺がエーリッヒを馬鹿の一人にしてしまった……。

「馬鹿と大馬鹿と底無しの大馬鹿か、違いを教えて欲しいな」
「自分が馬鹿である事を知らない貴族達、馬鹿そのものだな。その馬鹿共に担がれて反逆を起こしたブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯、これは大馬鹿だろう」
酷い奴だ、苦笑が
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