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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四話 勝てる可能性
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ネブルク中将が吐き捨てた。オフレッサーを血腥いと嫌悪する、同じ白兵戦を専門とする中将には不愉快な事だろう。
「所詮は貴族ですからね、戦争の本質が殺し合いだという事がまるで分かっていない」
「……」
「いずれその愚かさを後悔する事になるになりますよ、今回の内乱でね」
エーリッヒがカップを口に運びながら冷笑を浮かべていた。ヒルデスハイム伯は後悔する間もなく死んだ。今頃はヴァルハラで後悔しているだろう。
「まあそういう事だ。リューネブルク中将、俺達が卿らを差別する事は無い。信じて欲しいな」
クレメンツ中将の言葉にリューネブルク中将が軽く一礼した。陸戦隊ってのは扱いが難しいよな。エーリッヒとリューネブルク中将のように緊密に結びついているのは稀だ。なんでここまで気が合うんだろう、時々不思議になる。
「ところでヴァレンシュタイン、我々の勝ち目はどれくらいだ。疾風ウォルフは当分、いやこの内乱では戦場には出て来れんが。十パーセントくらいにはなったか」
ファーレンハイト中将がニヤニヤと笑いながら問い掛けてきた。エーリッヒが苦笑を浮かべた。話題を変えようとした、そんなところだろう。それとも本気で訊いて来たかな?
「残念ですが二パーセントは変わりませんね」
クレメンツ中将が俺を見て“相変わらず点が辛いな”と言ったから“同感です”と答えた。だがエーリッヒはそれが不満だったようだ。
「ミッターマイヤー提督は当分出てこない。ですが向こうには未だロイエンタール、ケンプ、ビッテンフェルト、ケスラー、メックリンガー、ミュラーが居ます」
リューネブルク中将が“結構分厚いですな”と呟いた。同感だ、良くミッターマイヤーを叩いたよ、空振りだったら逃げ出したくなったな。
「辺境には別働隊としてキルヒアイス、ワーレン、ルッツが居ます。辺境星域の平定が終れば本隊に合流するでしょう。それにローエングラム侯も居るんです、簡単に勝てる相手では有りません、二パーセントでも多いんじゃないかと思うくらいです」
今更ながらだがローエングラム侯の持つ戦力の巨大さに溜息が出た。俺だけじゃない、皆が溜息を吐いている。コーヒーよりも酒が欲しくなってきた……。
「ミッターマイヤー提督を叩いたのは余り意味が無いように思えてきたな」
「そんな事は無いよ、アントン。意味は有る」
「本当か?」
“本当だ”と言ってエーリッヒが笑った。
「ウォルフガング・ミッターマイヤーとオスカー・フォン・ロイエンタールを分断出来た」
「……」
「あの二人を組ませると二個艦隊どころか四個艦隊、五個艦隊分の働きをしかねない。それを阻むことが出来た。その分だけ敵の進撃は遅くなる。それに……」
エーリッヒが口元に微かに笑みを浮かべた。やばいぞ、ビスク・ドールが笑った
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