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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四話 勝てる可能性
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を堪えるのが大変だった。それにしても遮音力場って本当に罪作りだわ。
ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯、メルカッツ総司令官に帰還の報告をするとここでも大喜びだった。敗けていたのをひっくり返しての大勝利だ。普通の勝利よりも喜びは大きい。ブラウンシュバイク公はローエングラム侯の横っ面を引っ叩いてやったと嬉しそうだった。休養と艦隊の整備を命じられたが損害は軽微だからそれ程手間は取らないだろう。エーリッヒからも幾つか御願いをしたが上手く行くかどうか……、ちょっと疑問では有るな。
報告の後は三人でクレメンツ中将の私室に向かった。私室にはファーレンハイト中将も居た。どうやら俺達がここに来ると想定して先回りしていたらしい。お茶の用意もしてあった。テーブルに座りながらコーヒーを飲んだ、エーリッヒは紅茶だ。
「やったな、ヴァレンシュタイン。ウォルフガング・ミッターマイヤーをあそこまで叩くとは、見事なものだ」
「全くだ、驚いたよ」
エーリッヒが二人の讃辞に苦笑を浮かべた。こいつ、褒められるのに慣れてないんだよな。
「一点でミッターマイヤーを狙い撃ったが良く向こうの狙いが分かったな」
クレメンツ提督が狙撃銃を構えるような恰好をした。最近、クレメンツ提督は結構お茶目だ。良い意味で頼れる兄貴みたいなところが有る。
「機雷原を用いた時点でミッターマイヤー提督の考えは分かりました。シュターデン大将が挟撃をしたくなるように仕向けている、そう思ったんです。ローエングラム侯の本隊が近付いているという通信も有りましたしね、少々露骨でした」
エーリッヒが答えるとファーレンハイト提督が“シュターデンには難しかったようだな”と皮肉った。危なかった、もう少しでコーヒーを吹き出すところだった。リューネブルク中将も噎せている。
「少し気になったのですが誰もレンテンベルク要塞が陥落した事を話題にしないんですからね」
そうなんだ。レンテンベルク要塞は四月二十八日にローエングラム公の攻撃を受け四月二十九日に陥落した。オフレッサーも捕えられたしさぞかし貴族達も気落ちしてるかと思ったんだが誰も話題にしない。ブラウンシュバイク公も軽く触れただけだ。これって現実逃避の一種か。
「まああの要塞はイゼルローンのように難攻不落という代物じゃない。大軍に囲まれればあっという間に落ちてしまうのは貴族達も分かっていたからな、気落ちはしていないさ。……それでも丸一日もった、良く守ったほうだろう」
「それにオフレッサーは必ずしも貴族達に好まれているわけじゃない、その辺りも影響している」
クレメンツ、ファーレンハイト両中将の言葉になるほどと思った。オフレッサーは少し血腥すぎる、貴族達から見れば味方では有っても嫌悪の対象というわけか。
「薄情なものですな」
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