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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三話 効率
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「じゃあシュターデンの事か? 利用した事を悔やんでいるとか」
「まさか、狙い通りで大喜びだ」
肩を竦めてあっさり答えた、詰まらない事を聞くな、そんな口調だ。犠牲が多くて悩んでいるのかと思ったが……。
「内戦というのは嫌だね。知っている人間と殺し合いをする事になる。おまけに殺したくない人間ばかり向こうにいる。ウンザリだよ」
エーリッヒは心底嫌そうな顔をしている。なるほどな、そういう事か……。リューネブルク中将が肩を竦めた。
「ミッターマイヤー提督は無事ですよ、提督。重傷を負ったようですが無事だと政府軍が通信しているのをスクルドのオペレータが傍受しています」
「……」
本当かと言う様に俺に視線を向けてきた。
「リューネブルク中将の言う通りだ。遮音力場なんて使っているから分からないんだ。一時間も前に分かった事だぞ」
「……そうか、無事だったか。姿も見せなければ声も聞こえない、もしやと思っていたが……、無事だったか……」
ほっとしたような表情をしている。リューネブルク中将と顔を見合わせた。また中将が肩を竦めた。おかしそうな表情をしている。
戦闘中は冷酷なまでに殺そうとしていたのに終わってからは心配の余り塞ぎ込んでいる。全く、困った奴だ。
「シュターデン大将の艦隊だがヒルデスハイム伯達の別働隊は全滅した。本隊は二千隻程の損害を出している」
「シュターデン大将は今何処に?」
「レンテンベルク要塞に向っている。戦闘中に負傷した。かなりの重傷で要塞で治療をするようだ。当分動けないだろう」
リューネブルク中将が“今日二番目に良いニュースですな”と言って笑った。酷い事を言うと思ったが俺も笑ってしまった。エーリッヒだけが笑わない。付き合いが悪いな。
「結局こっちは一万隻失った、向こうは一万三千隻。1対1.3か、効率は良くないな」
「そんな事はない、効率良く殺しているさ」
皮肉か? エーリッヒは冷笑を浮かべている。リューネブルク中将も困惑している。中将も真意が掴めないのだろう。
「冗談だよな」
「本気で思っている。敵も味方も効率良く殺している」
エーリッヒが低く笑い声を立てた。拙いな、こいつがこういう笑い方をする時は大体碌な事が無い。一体何を言い出す気だ、リューネブルク中将も引き攣っているぞ。
「もし、貴族連合軍が内乱に勝利を収めたらどうなると思う?」
内乱に勝ったら? 考えた事が無かったな、リューネブルク中将と顔を見合わせた。中将は困惑を浮かべている。多分俺と同じで考えた事は無かっただろう。
「貴族共が今まで以上にやりたい放題やりだすだろうな。この世の終わりだ、ウンザリだよ」
おいおい、まさか……。顔が引き攣った。エーリッヒが俺を見て声を上げて笑った。
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