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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三話 効率
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、ディッケルは。俺が駆け付けた時、最終的に生き残った艦はボロボロになった五百隻程だった。ディッケルが移乗先を間違えればミッターマイヤーは死んでいただろう。降伏を受け入れず味方の来援を信じてミッターマイヤーを守った。俺には奴を労わる事しか出来なかった。来援が遅れた事を詫びミッターマイヤーを守ってくれた事に礼を言う事しか出来なかった……』
『緊張が切れてしまったのだろうな。ディッケルは泣き出してしまった、余りの惨めさ、悔しさ、いや或いは安堵からかもしれん。人目も憚らずに肩を震わせて泣いていた……』
ロイエンタール提督が首を振っている。また溜息が聞こえた。思わず目を閉じた。本当に現実なのか、これは。
『……ディッケル中将は良く降伏しなかったな』
ケスラー提督が問い掛けた。
『コルプトの件が有るからな。降伏すればミッターマイヤーの身に何が起きるか、それを思うと降伏は出来なかったとディッケルが言っていた』
コルプト大尉の一件か。確かにそうだ、ミッターマイヤー提督が降伏すれば何が起きたか……。
『ローエングラム侯は何と?』
『ミュラー提督、俺が報告した時ローエングラム侯は呆然としていた。最初は何が起きたのか分からなかったのだと思う。だが直ぐに“おのれ、ヴァレンシュタイン”と言って宙を睨んだ。鬼気迫る表情だった』
ミュラー提督が視線を伏せた。親友が僚友を大敗北に追い込んだ。何とも遣る瀬無い気持ちだろう。皆も困ったような表情をしている。
『それにしても恐るべき相手だ』
場の雰囲気を変えようと言うのだろうか、メックリンガー提督がヴァレンシュタイン大将を評した。
『ああ、戦闘中に通信で心理戦を仕掛けてくるとは……』
ケンプ提督の言葉にメックリンガー提督が首を横に振った。
『それだけではない、ケンプ提督、それだけではない。この一戦、ヴァレンシュタイン提督は全てを見切って攻撃をかけている。シュターデン大将の動きもそれに対応するミッターマイヤー提督の動きも完璧に見切った。そうとしか思えん』
『……』
提督達が顔を見合わせている。しかし反論は無かった。同じような事を考えていたのだろう。自分もそう思う、しかしそんな事が現実に可能なのだろうか?
『それにヴァレンシュタイン提督はミッターマイヤー提督を確実に斃す為にシュターデン大将を見殺しにした、いや餌として利用したようだ。ミッターマイヤー提督が死なずに済んだのは奇跡に近いだろう。恐ろしい相手だ、或いはヤン・ウェンリーを凌ぐかもしれん』
誰かが溜息を吐いた。その音がやたらと大きく響いた。
通信が終るとビッテンフェルト提督が溜息を吐いた。
「遣りきれんな、ミッターマイヤー提督も辛いだろう」
「……」
「俺もアムリッツアでは旗艦以下数隻にまで
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