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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二話 アルテナ星域の会戦
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9日 アルテナ星域 ミッターマイヤー艦隊旗艦ベイオウルフ ウォルフガング・ミッターマイヤー
「他愛も無い敵ですな」
ディッケル参謀長が呆れた様な声を出した。全く同感だ、なんと他愛の無い敵なのか。スクリーンには機雷と我々に挟まれて次々と撃破されていく敵の別働隊の姿が映っていた。シュターデン、所詮は理屈倒れか、実戦はまるで駄目だな。
敢えて正面に六百万個の機雷を置いたのは何のためか、ローエングラム侯の本体が来ると情報を流したのは何のためか、まるで分かっていない。少し考えれば敵の挟撃を誘発し各個撃破するためと分かりそうなものではないか。それなのに見えない敵を相手に注文通りに艦隊を分散させるとは、余りにも拙さ過ぎる……。これなら何もせずに退いた方が未だましだ。
「閣下、この後は如何しますか。正面から敵の本隊を迎え撃ちますか?」
「いや、時計方向に進撃し後方から敵の本隊を攻撃する、その方が良いだろう」
ディッケル参謀長が頷いた。目の前に敵が居らず背後から襲われたとなればシュターデンは如何思うか。恐慌状態になるだろうな、少しは実戦の機微を知ると良い。もっとも次に生かせる機会が有るとも思えんが。
別働隊を壊滅させると最大戦速で艦隊を時計方向に移動させた。二時間程で敵本隊の最後尾が見えた。こちらには何も気付いていない。俺が前方に居るものだと疑ってもいない、愚かな……。一撃目で混乱、二撃目で恐慌、三撃目で遁走だ、後は逃げる敵を追撃して戦果を拡大すれば良い。逃げられるかな、シュターデン教官。
「速度そのまま。全艦砲撃用意!」
参謀長が復唱した。艦橋が昂揚している。皆が次の一瞬、“撃て”の命令を待っているのが分かった。右手を上げた。
「主砲斉射三連、撃て!」
右手を振り下ろす! 砲撃による光の束が一つ、二つ、三つと敵艦隊に打ち込まれその度に大きな光球の爆発が起きた。艦橋に大きな歓声が上がった。
「よし、追撃……」
「閣下!」
オペレータが悲鳴のような声を上げた。何だ? 顔が蒼褪めている、何が起きた?
「側面からエネルギー波、急速接近!」
馬鹿な! 側面! エネルギー波? 敵が居た? ベイオウルフに凄まじい衝撃が走った。
帝国暦 488年 4月 19日 アルテナ星域 ヴァレンシュタイン艦隊旗艦スクルド アントン・フェルナー
「敵艦隊の進撃が止まりました!」
オペレータが声を上げると艦橋に歓声が上がった。
「敵艦隊を機雷源に押し付けるように包囲しろ、ワルキューレの発進を許可する。攻撃の手を緩めるな!」
俺の命令をオペレータ達が艦隊に命じている。艦橋は奇襲の成功に凄まじいほどの熱気に溢れた。火傷しそうな熱さだ。
「アントン、ワルキュー
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