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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二話 アルテナ星域の会戦
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・キルヒアイス、オスカー・フォン・ロイエンタール、ウォルフガング・ミッターマイヤーの三人です」
「キルヒアイス提督は辺境星域だ。となるとロイエンタール提督かミッターマイヤー提督が出て来るという事か」
ファーレンハイト提督が答えるとエーリッヒが頷いた。
「その可能性が高いと思います。上手く行けばそこを叩けるでしょう。成功すれば敵味方両軍に与える影響は大きい」
皆が頷いた。勇将ミッターマイヤー、名将ロイエンタールを敗北させれば味方の士気は否応なく上がるだろう。逆にローエングラム侯にとっては最も信頼出来る指揮官が出だしで躓いた事になる。かなりの計算違いの筈だ。その後の戦いにも少なからず影響は出ざるを得ない。それにしても良く考えている。だから遊撃を望んだのか……。
クレメンツ提督がファーレンハイト提督、リューネブルク中将と顔を見合わせ、そしてエーリッヒに視線を向けた。
「さっきまで三人で話していた。卿はこの日が来るのを待っていたのではないかと。貴族連合軍とローエングラム侯が戦う日が来るのを予測していたのではないかと。我々の勘違いか?」
エーリッヒが笑みを浮かべた。不思議な笑みだ、透明な感じで嬉しいのか悲しいのか良く分からない、柔らかい笑み……。
「この日が来ない事を願っていました。でもこの日が来るのも分かっていました。だからこの日のために準備をしました。内政を整え領民の離反を防ぐ、軍備を増強し精強ならしめる。悪足掻きですけどね」
「……」
「有難い事にリッテンハイム侯爵家は直ぐにブラウンシュバイク公爵家の真似をしてくれた、何かにつけて張り合いますからね。お蔭で両家の戦力は期待出来る。今では私はこの戦争を楽しんでいるのか、恐れているのかも分からなくなってきた。こんな日が来るとは思いませんでしたよ……」
相変らずエーリッヒは不思議な笑みを浮かべている。クレメンツ提督達も何も言えずに黙っていた。
「……エーリッヒ」
「大丈夫だ、アントン。大した事じゃ無い、死ぬまでに答えを出せば良い事だ。死ぬ時には納得して死ねるだろう、それで十分だ」
「……」
「卿も同じだ。私をブラウンシュバイク公爵家に引き入れた事が正しかったのかなんてくよくよ悩むんじゃない。死ぬまでに答えを出せば良いさ」
現実的なのだろうか、楽天的なのだろうか……。
「……死ぬまでにか、答えが出なかったら如何する?」
エーリッヒが笑い出した。
「最初から答えは無かったのさ」
「……」
「最初から答えが無いから答えは出ないんだ。簡単だろう? 悩んでいる暇は無いぞ、フェルナー参謀長。直ぐに出撃だ」
肩を叩かれた。良く分からなかった。だが確かに悩んでいる暇は無さそうだった。
帝国暦 488年 4月 1
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