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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二話 アルテナ星域の会戦
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でもない作戦を立てて苦労をさせられた。情け容赦なく叩き潰してくれますよ。一石二鳥、いや三鳥と言ったところです」

エーリッヒが指を折って利点を数えた。あーあ、二人が引き攣っている。卿はそういう事をやるから周りから怖がられるんだ。そして手離してはいけないと思われる。ブラウンシュバイク公爵家から逃げられなくなったのも卿自身に一因が有るんだぞ。恩返しとか言って働き過ぎたんだ。しかも本人は未だ足りないとか思っているし。

「確かに貴族達は兵力の多さに浮ついています。一度戦って負けるのも必要かもしれません」
「うーむ、……フェルナー、痛い目に遭ってこい、そういう事か」
まあ平たく言えばそういう事だ。貴族なんて望めば叶うと思っている馬鹿ばかりだ。多少は現実を見せる必要は有るだろう。

ブラウンシュバイク公が出撃に同意した。その場からリッテンハイム侯に連絡を入れ説明すると侯も出撃に同意した。リッテンハイム侯は要塞内にスパイが居る事がかなり不安らしい。家族に危害が加えられるのではないかと心配している。ブラウンシュバイク公も頷いていたから公も同じ不安を抱いていたのだろう。出撃を許可したのはそれも有るのかもしれない。

総司令官の執務室を出ると真っ直ぐにクレメンツ提督の部屋に向かった。部屋にはクレメンツ提督の他にファーレンハイト提督、リューネブルク中将の姿が有った。
「出撃が決まりましたかな」
「決まりました。シュターデン大将が出撃した三日後です」
俺がリューネブルク中将の問いに答えると三人が“本当か”というような表情をしたが“スパイの焙り出しです”と言うと一転して得心したように頷いた。

「シュターデン大将と協力するのかな」
「まさか、シュターデン大将は大物を釣り上げる餌ですよ、クレメンツ教官。それ以上じゃありません」
余りの言い草だと思ったのだろう、部屋に苦笑が満ちた。エーリッヒは時々クレメンツ中将の事を教官と呼ぶ。大体不本意な事が有った時だ。こういうところは分かり易いんだな。

「冗談で言っているんじゃありません。貴族連合軍の多くは練度も低ければ士気も低い烏合の衆です。とても肩を並べて戦うなんて事は出来ません。となればどれほど非情と罵られようと餌として利用するくらいしかないんです。幸い相手は武勲欲しさに食らい付いて来るはずです。そこを撃つ。割り切らないと彼らを救うために我々が大損害を出しかねません。そうなったらもう戦えませんよ」
苦笑は消えた。皆が苦い表情で頷いている。

「なるほどな、確かにそうだ。それで大物、というと?」
「戦略的な意味は有りませんが両軍最初の戦いです。勝って味方の士気を高めるという意味は有る。ローエングラム侯は信頼出来る指揮官を送り込むでしょう。彼が最も信頼するのはジークフリード
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