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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二話 アルテナ星域の会戦
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居る。妙な事に平民、下級貴族、そして我らの領地の人間ではない。普通ならローエングラム侯の所に行きそうなものだが」
「……ではその男達が」
総司令官が問い掛けると公が重々しく頷いた。

「多分。怪しいとすればその連中だろう。それぞれ監視を付けているが今の所目立った動きは無いとアンスバッハは報告している」
こっちはアンスバッハ少将、リッテンハイム侯の所はリヒャルト・ブラウラー大佐が調査している。二人とも慎重な男だ、まず間違いは無いと見て良い。連中はローエングラム侯が送り込んできたスパイだ。

アンスバッハ少将の役目には他の貴族達の動向確認も含まれている。言ってみれば貴族連合軍内部の防諜担当官だ。そしてシュトライト少将は諜報担当官。オーディン、そしてローエングラム侯の元帥府の中にこちらの協力者を配備、そこから情報を収集している。もっともローエングラム侯の元帥府は防諜が厳しいらしい。良質の情報はなかなか得られない。

このメルカッツ総司令官の執務室にリッテンハイム侯が居ないのも敵を欺く策の一つだ。ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯は協力体制にあるが表向きは対立しているように見せかけている。ローエングラム侯の目を欺くため、そして貴族達の目を欺くため。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯、それぞれに不満を持つ者は必ずもう片方に近付くはずだ。その動向を押さえる。怖いのは貴族達が独自の勢力を作り動く事だ。何を仕出かすか分からない、それは阻止しなければならない。

「動きませんか、厄介ですね。このままではこちらも出撃出来ません。……シュターデン大将が出撃したがっています。許可しては如何でしょう。貴族達にローエングラム侯の力量を思い知らせるという意味でも悪くないと思いますが」
ブラウンシュバイク公とメルカッツ提督が目を剥いた。まじまじとエーリッヒを見ている。

「シュターデンを使ってスパイを炙り出すと言うのか」
「メルカッツ総司令官に競争意識を抱いているようです。総司令官もやり辛いでしょう、外へ出すのも一手だと思います。そうだろう、アントン」
「まあ、そうかもしれない」
「この通り、フェルナー少将も同意見です」

ブラウンシュバイク公とメルカッツ総司令官が今度は俺を見た。エーリッヒ、あんまり俺を巻き込んで欲しくないんだが……。御蔭で俺は卿に匹敵する悪謀の持ち主と陰で言われているらしい。アンスバッハ少将とシュトライト少将に言われて落ち込んだわ。あの二人、楽しそうに笑ってた。本当に性格が悪いのはあの二人だと思う。

「もしシュターデンが勝ったら如何する。増長するぞ」
「それは有り得ません。今の宇宙艦隊の司令官達はシュターデン大将を嫌っているんです。士官学校では詰まらない授業をしましたし卒業後は宇宙艦隊の司令部で碌
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