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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第一話 動乱の始まり
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のはエーリッヒだ。士官学校時代は気付かなかったがかなり強かな計算をするようになった。その当てにならない連中と共に戦う。勝算の無い戦いをしない筈なのに一体何を考えているのか……。
ざわめきが起きた。出入り口の方だ。視線を向けると懐かしい顔が有った。エーリッヒ、アントン、クレメンツ中将、そしてファーレンハイト中将。珍しい事だ、彼らが此処に来るなど。そう思っているとこちらに近付いてきた。そうか、会いに来たのか、律儀な奴だ。
テーブルの前に来た。幾分空気が重くなった。皆が居心地の悪さを感じた時エーリッヒがクスッと笑った。相変わらず悪戯好きで子供っぽいところは少しも変わらない。卿は帝国軍大将だぞ。
「御迷惑でなければ同席させて頂けませんか?」
穏やかな声だった。空気が軽くなったような気がした。
皆が顔を見合わせたがロイエンタール提督が“どうぞ”と言った。皆が少しずつ席を詰めてエーリッヒ達が席に座った。
「あの折は御配慮、有難うございました。おかげで助かりました」
ミッターマイヤー提督が姿勢を正して謝意を述べるとエーリッヒがひらひらと掌を動かした。
「気になさらないでください。元々弁護士志望でしたのでね、困っている人を見ると無性に助けたくなる性分なのです。御蔭で今はブラウンシュバイク公を助けようとしています。一種の病気だな」
エーリッヒの言葉に元帥府の皆は困ったような表情をした。何と応対していいか分からなかったのだろう。クレメンツ中将達はおかしそうな顔をしている。
「出来る事なら戦場で出会ったら手加減して頂けると嬉しいですね。まあ無理なお願いだという事は分かっています。ですが心の片隅にでも覚えて頂ければ幸いです」
「……はあ」
「……冗談ですよ、ミッターマイヤー提督。場を解そうとしたんですが……」
エーリッヒが困った様に、心配そうに言うとクレメンツ中将達がこらえきれないといった様に笑い出した。
「ああ、失礼。大将閣下はこの通り冗談の下手な方でね。我々は慣れているから笑えるんだが卿らは良く知らないからな、ちょっと笑うのは難しいかもしれない。まあ悪気は無いんだ、悪くとらないでくれ」
エーリッヒは困ったような顔をしている。それを見て彼方此方から苦笑が起きた。ミッターマイヤー提督も苦笑している。
エーリッヒ達が飲み物を頼んだ。エーリッヒはカルーア・ミルク、カルーアは少なめにと頼んだ。他の三人は水割りだ。エーリッヒは飲めない酒をいつの間にか飲むようになっていた。アントンも最初は止めたらしいが今では量を過ごさなければ止めることは無い。少しずつだが何かが変わったと思う。
「しかし珍しいですな、ここにいらっしゃるとは。何か特別な用でも?」
ケスラー提督が問い掛けるとエーリッヒが僅かに首を傾げた。
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