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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第一話 動乱の始まり
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するか。
「俺も卿と共に戦うぞ、ここに卿を引き摺り込んだのは俺だからな。卿を見捨てては行けん」
「諸悪の根源だな、アントン・フェルナー少将。だがついに積年の悪行の報いが来たか」
エーリッヒがおどけるとようやく部屋に笑いが起きた。そしてアンスバッハ、シュトライト両少将も公と共に戦うと言った。
「おめでとうございます、ブラウンシュバイク公。世の中思ったよりも馬鹿が多い。或いは公の人徳かな。勝算は二パーセントに跳ね上がりました。倍ですよ」
エーリッヒの言葉に皆が笑い出した。ブラウンシュバイク公もだ。
「酷い奴だ、もう少し勝率を上げてくれても良いだろう、せめて五パーセント程度にはしてもらいたいものだ。そうではないか?」
クレメンツ中将の言葉に皆が口々に同意した。和やかな空気が部屋に流れた。
ブラウンシュバイク公が突然頭を下げた。
「済まぬな、皆。オットー・フォン・ブラウンシュバイク、心から卿らに感謝する。この通りだ」
声が湿っている。耐え切れなくなったのだろう、嗚咽が漏れた。頭を下げたのは涙を隠す為かもしれない。少しの間、部屋を沈黙が支配した。どういうわけか、切ない程優しい気持ちになっていた。
帝国暦 488年 2月 10日 オーディン ゼーアドラー(海鷲) ナイトハルト・ミュラー
ゼーアドラー(海鷲)は何処か浮ついていた。誰もが内乱が近いと分かっているからだろう。そして内乱はかつてない規模のものになる筈だ。
「負けられんな、今度の内乱は」
ケンプ提督の言葉に皆が頷いた。確かに負けられない、この戦いが帝国の未来を決めるだろう。そして俺は一個艦隊の司令官として初めて戦場に出る、緊張と不安を感じている。
「負ける事は無いだろう、貴族連合など烏合の衆だ。クロプシュトック侯の一件がそれを証明している」
ビッテンフェルト提督が気負う事なく言った。
「確かに貴族連合は烏合の衆だ。だがな、ブラウンシュバイク公爵家は厄介だぞ」
「クレメンツ、ファーレンハイト、そしてヴァレンシュタイン……」
ロイエンタール、ミッターマイヤー提督の言葉にテーブルが静まり返った。
ロイエンタール、ミッターマイヤー、メックリンガー、ケンプ、ビッテンフェルト、ルッツ、ワーレン、ケスラー提督。ローエングラム元帥府の指揮官達、おそらくは帝国の精華といって良い男達だ。その男達が沈黙している。俺の不安の理由の一つがそれだった。ブラウンシュバイク公爵家にはアントンとエーリッヒが居る。そしてクレメンツ中将とファーレンハイト中将。どちらも有能な指揮官だ。これまでの実績がそれを証明している。
「ミュラー提督はヴァレンシュタイン提督とは士官学校で同期だったと聞いたが?」
「ええ、そうです。……親友で
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