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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第一話 動乱の始まり
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は難しいでしょうね。結局は暴発してブラウンシュバイク公爵家は捲き込まれる事になります」
またブラウンシュバイク公が溜息を吐いた。

「勝てるのか、ローエングラム伯に。卿は伯を高く評価していたが」
「百の内九十九パーセント負けます」
同感だ、負けるだろう。貴族連合など当てにならない事はクロプシュトック侯の討伐で分かっている。あれは烏合の衆でしかない。他の人間もそれは分かっている。皆、顔色が良くない。

沈痛な表情で沈黙するブラウンシュバイク公にエーリッヒが笑いながら話しかけた。
「そんな顔はなさらないでください。たとえ一パーセントでもローエングラム伯相手に勝ち目が有るというのは大したものですよ。自慢して良いと思います」
それで励ましたつもりか? 全く……。溜息が出そうだ。

「それより他の方々に共に戦ってくれるかどうか確認した方が良いでしょう」
エーリッヒがクレメンツ、ファーレンハイト両中将、アンスバッハ、シュトライト両少将に視線を送った。そして俺にも。ブラウンシュバイク公も皆を見た。
「味方すれば反乱軍となる、そして敗者になる。これまでの名誉など欠片も無くなるでしょう。抜け出しても誰も軽蔑はしません、少なくとも私は軽蔑しない。ここでブラウンシュバイク公に味方するなど愚の骨頂だ」
「エーリッヒ」
何かを言おうとしたがエーリッヒが手を上げて止めた。

「それに戦っている時に裏切られるよりはずっと良い。ローエングラム伯もそういう人間は嫌悪します。抜けるなら今です」
重苦しい沈黙が落ちた。ブラウンシュバイク公も何も言わない、いや言えないのだろう。エーリッヒの言葉には一グラムの偽りも無かった。

「卿は如何するのだ?」
クレメンツ中将がエーリッヒに問うと“私ですか”と言ってブラウンシュバイク公を見た。
「ブラウンシュバイク公には命を助けて貰いました。私は未だその借りを返していないのですよ。困った事に私の予想とは違って意外にブラウンシュバイク公は良い方だった。このまま抜けては一生後悔するでしょう、借りを返す機会を与えてくれた事を感謝しますよ、公」
笑みを浮かべている。胸を衝かれた、四年前俺のしたことは正しかったのだろうか……。

「ならば小官も御一緒しますよ、ヴァレンシュタイン提督。小官の命を救ってくれたのは貴方ですからな。小官も未だその借りを返していません。ここを抜けては返しそびれてしまう」
リューネブルク中将が不敵な笑みを浮かべて答えた。死ぬ気だな、そう思った。リューネブルク中将はエーリッヒが死ぬと言っている。そしてエーリッヒもそれを否定しない。二人とも死ぬ気だ。クレメンツ、ファーレンハイト両中将が自分達も共に戦うと言った。二人もエーリッヒには常々借りが有ると言っている。どれ、俺も宣言
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