第四章
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よ」
「じゃあ大丈夫だな」
今の恵理香の言葉の意味には全く気付いていなかった。
「それじゃあ暫く休んだら」
「そうね。ただその前に」
「んっ!?」
「これ」
そう言って彼に差し出したのは。あの雪玉だった。
「あげるわ」
「!?それって」
「ええ、これあげるわ」
彼に差し出しながら言葉を続ける。
「中身もね」
「中身って?」
「よかったら。割ってみてくれるかしら」
「これをだよな」
「そうよ、それをね」
言うまでもなく雪玉のことだ。数馬に対して言うのだ。
「御願い。開けて」
「開けたら何かあるのか?」
「開けたらわかるから。だからあげる」
「何かよくわからないけれど貰っていいんだよな」
恵理香の真意が掴めないまま応える。やはりわかってはいない。
「それで」
「ええ、だから」
「わかったよ。じゃあ」
恵理香からその雪玉を受け取った。それから言われるままにその雪玉を開ける。すぐにその中にあったものに気付いてみている。その間恵理香はじっとして身動き一つしない。当然言葉もない。
だが彼がその中身を見終わったと見ると。こう尋ねてきた。
「・・・・・・いいかしら」
「まさかとは思ったけれどな」
数馬は苦笑いになっていた。恵理香の方を見て笑っている。
「だからか。それでわざわざ」
「ええ。話を聞いて」
あの雪玉の話だ。
「それで私もやってみたの。こうした告白ならいいかなって」
「成程な。そうだったんだ」
「口では中々言えないから」
顔を俯けさせている。恥かしがっているのがわかる。
「だから。こうして」
「わかったよ。そういうわけだったんだ」
「それで。返事は?」
あらためてそれを尋ねてきた。
「返事はどうかしら。駄目?やっぱり」
「いや、いいけど」
あさりとではあったが恵理香にとっては望ましい返答だった。
「葉山がそれでいいっていうんなら」
「いいのね、本当に」
「ああ、こんな時には誰だって嘘はつかないさ」
笑って顔をあげてきた恵理香に対して告げる。
「だからさ。これからあらためて宜しくね」
「ええ、ええ」
恵理香は満面に笑顔になっていた。その笑顔で数馬の言葉に応えるのであった。
「こちらこそ。あらためて」
「ああ。けれどな」
「何?」
「あの雪玉はもう止めてくれよ」
また苦笑いになって彼女に告げてきた。
「氷そのものの雪玉はな。いいな」
「あっ、御免なさい」
「本気で痛かったからな」
それを彼女に対して言う。
「だから今度からはな。それはなしでな」
「わかったわ。それじゃあ」
「それだけ頼むぜ。じゃああらためて」
「宜しく」
「こちらこそな」
最後は純粋な笑顔でベッドとその側で笑みを浮かべ合う。窓の外ではま
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