■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第六十話 生きる意味:マルバ&シリカ
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。道半ばで倒れたとしても、それはそれで意味がある人生だろうってね。死力を尽くした結果の死なら甘んじて受け入れようって思ってたんだ」
この考えはキリトの死生観にも共通するところがある、とミドリは思った。シリカは目尻に滲んだ涙を拭うと、少し心配そうにマルバの話の続きを待った。マルバはシリカが拳を握りしめているのに気づき、その拳を自らの手で包み込んだ。大丈夫だから、と励ますように。
「前に、サチに対して語ったことがある。『人が生きる意味は、自分が生きた証をこの世に残すことだ』ってね。その考え自体は今も変わらないよ。でもね、未来ばかりを見てもダメだって気づいたんだ。あとで昔話として語られる人物になったら僕は満足できるかって考えたら、そうじゃないって思った。なにせ、その頃にはとっくに死んでるからね。そう考えたら、生きる意味なんて無いんじゃないかって思うようになった。でもさ……そんなのって悲しいじゃない? だからさ、僕は自分の生きる意味を僕が生きる時間、せいぜい八十年そこそこに求めることにしたんだ。そうやって考えていた時、答えをくれたのは君だったんだよ……シリカ」
シリカは「えっ、あたしですか?」と驚き、ミドリたちも興味津々にマルバの話に引きつけられている。この場はマルバの独壇場だった。
「そもそも生きる意味って漠然としすぎてるでしょ。だからさ、僕はまず『生きる』ってどういうことなのかなって考えたんだ。生きるってどういうこと? 呼吸していれば生きているのか? 歩いてれば生きているのか? 食べて寝て、日中はぼーっとしている……そんなのは生きていると言えるのか? ――僕はそうは言えないと思う。人間にとって生きるとは、もっと違うことだと思うんだ」
その時、ミドリがぽつりとつぶやいた。
「人間は考える葦である――」
「そう、その通り。人間は考え、それに従って行動する――つまり、人間の人間としての行動には必ず理由がある。そうじゃなきゃ人間とは言えないと思うよ。僕はとりあえず、生きるっていう漠然としたよく分からない行為について考える前に、まず人間の行動のいくつかを例に考えてみた。例えば――そう、勉強するという行為はどうだろうか?」
マルバは一旦言葉を切った。全員がとりあえず自分にとっての『勉強する意味』を思い描くのを待ち、彼は言葉を続ける。
「僕は何のために勉強するのか? ……とりあえず、学校でいい成績をとるため。なんていうか単純だし微妙な答えだけど、それじゃ旅行する意味は? 読書する意味は? 歌を歌う意味は? サッカーをする意味は?」
彼は再び言葉を切ったが、今度は全員が考えるのを待たずに再び話し始める。
「……全部全部、細々とした小さな『意味』に結び付けられているよね。それじゃあ、こういった細々としたことを全部まとめてみるとしよう。勉
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