第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日:『星辰の日』U
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《・》いに踏み込まれた。
胸に走る冷感。次いで、灼熱。最早、痛みはなかった。目にも止まらぬ『応無手突』により胸に突き立つ、鉛筆ほどの『グラーキの棘』を目の当たりにしたところで。
「…………!? …………!!」
その猛毒により倒れ伏し、指先すら動かせない。そもそも、絶命していないだけで奇蹟だが。
此方に呼び掛けているらしい涙子の声も、最早意味を成さない。ただ、『逃げろ』と口に出来ない事が悔しかった。見下ろし、嘲笑う男性──『U』と表紙に印された魔導書を携えた鷹尾蔵人の手が、彼女に迫っているのを無力にも見ているしかなく。
意識を失う瞬間まで、それを。自らの浅慮を恥じながら…………
………………
…………
……
彼女が帰ってきた時、そこにはもう、誰の姿もなく。飾利は、ぽつねんと佇んで
「あれ……佐天さん、嚆矢先輩?」
見回したバス停に、二人の姿はない。無論、他の誰かの姿も。充満していた瘴気も、『非日常』は何も。そこには、『当たり前』の日常しかない。
それに、彼女はぷくりと頬を膨らませて。
「もう、置いてくなんて酷いですよぅ……」
『当たり前』の日常らしい言葉を口にしたのだった。
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