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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百五幕 「若人よ立ち上がれ」
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った。
自然と、ユウは自分の考えに確信を持ちたくてページをめくろうとし、そこで裏合気遠当と次の技の間にもう一ページあることに気付いた。長らく放置されていたせいで一部のページが張り付いていたらしい。
「裏合気遠当・木霊………遠当のバリエーション奥義。一撃目の拳で相手を拘束し、もう一撃を叩きこむことで気を二重に重ね、木霊のように衝撃を増幅させる、か。この理屈で言うなら僕の神度拳は『裏合気遠当・
番
(
つがい
)
』って所だね」
神度拳は、風花が百華の名を冠してから使った、両手で撃つ十束拳だ。本来なら遠くで爆発するエネルギーを、両手で同時に打ち出すことによって纏めあげる。爆弾ではなく大砲に近い技だ。
さっきまでと自分の思考回路が変わっていくのを感じる。
よりアクティブに、より柔軟に、そしてイマジネーションが広がっていく。
ISにしか出来ない戦いではなく、ISなら出来る戦い。
気付かぬうちに再現していた貴家流の奥義の一つ。
そして――二重。
「だから……あの速度に対抗するには………うん、そこで根性出さないとな。それで……ちょっと不満はあるけど、弱い側が出し渋るなんてどんな理由があっても馬鹿だよね。でもそうなると………」
これを機に、ユウの頭は急速に回転を速めていく。
手探りの戦いから目標を倒す戦いへ。
戦う為の戦略ではなく、勝つための戦略へ。
「そうだよ、なに素直に負けを認めてるんだよ!沢山ある勝負の内のたった一敗じゃないか!あの時はどうにもできなかったけど……そもそも勝負ってどちらかが負けるのは当たり前だ!」
ジョウやあの襲撃者が言っていた「諦めている」という言葉の意味を、ユウは漸く理解できた気がした。
ユウにとって勝負とは、勝とうが負けようが相手の動きや自分の出来る事を延々と脳内で反復し、どうすれば勝てるか、どうすれば強くなれるかを考え続けることではなかったか。
負けたからとか追い詰められたからとか、そんな言葉を言い訳に思考を停止していなかっただろうか。
「負けると確信したあの瞬間、僕は戦っているようで戦っていなかった。勝利へ向かわず、ただ取り敢えず目の前の相手にそれらしい動きをしてるだけだった。勝ちに向かってなかったんだ……!」
無謀でもいい。負けてもいいし、折れてもいい。でも、99%の真実が敗北という名の実力差を見せつけに来たとしても、残り1%の夢から目を逸らしてはならない。
僕の覚悟というのは、元々その類だろう。
思い出せ――あの頃の無謀な闘争心を。
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