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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百五幕 「若人よ立ち上がれ」
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換期となり、それが今のユウの人格形成に大きな役割を担った。
その奥義書を、実はユウは常に部屋に置いていた。
死ぬほどに恥ずかしい思いをするとはいえ、これでも兄と正面から向き合うきっかけになった思い出の品だ。馬鹿だった自分への戒めにもなる。そしてユウは、特に遠出する時はこれを荷物にこっそり忍ばせる癖があった。
その事を今になって思い出したユウは、気が付けばその書物に目を落としていた。
兄に勝つ方法を求めて我武者羅になっていたあの頃と全く同じように、だ。
もう二度と振り返ることはないとばかり思い込んでいたこの書物のページを再びめくっていた。ある意味では原点回帰と言えるかも知れまいが、要するに行き詰まった時のヤケクソではないだろうか。
「つまり、僕ってば実はあの時から全く成長していないってことなのね……」
煮詰まった頭を冷やすように天井を眺めながら、小さな声でぼやく。
今、ユウは旅館の自分の部屋にいる。
あの襲撃者が「後でまた来る」と言ったのだから、恐らくそう遠くないタイミングでユウの下にやってくるだろう。そして、太平洋とベルーナ救出のために人数が手薄になっているタイミングの内に仕掛けてくると考えるのが妥当。
今は侵入者を監視するために簪が屋根の上からISのセンサーで監視し、ユウは部屋で普通に襲撃を待つことになっている。
だからユウにはやることがないのだ。
「才能も頭脳も、覚悟もないか……ついでに根性もないとまで言われちゃ、流石に黙って引き下がれない……でも」
指南書に目を落とす。昔に見つけた時よりも更に古臭くなった気がするこの本に、それを覆すものがあるのだろうか?
「あーあ……せめて何か一つくらい参考になる技とかないのかなぁ。今から強くなるのは無理でも、やっぱり一発ギャフンと言わせたいよね」
もう何度めくったかも分からない指南書をぺらぺらとめくっていたユウは、ふとある奥義に目がいった。
「裏合気遠当て……気を練って相手にぶつけるって、最早そこまでいくと魔法だよね」
ページには、振りかざした拳の先端から謎の光弾を飛ばすイラストが載っている。
妙にポップな絵柄だが、これ一体だれが書いたのだろうか。今更ながら密かに疑問に思っていたユウだが、ふとこれと似たものをどこかで見た気がして改めて絵を見る。
そしてユウは、ひとつの事に気付いた。
「これ……僕が前に使った『
十束拳
(
とつかのけん
)
』とそっくりだ」
拳にバリアを一点集中させ、エネルギーの爆弾として拳で打ち出すユウの必殺技、『十束拳』。
イラストの内容と『十束拳』は、こうして見ればよく似ていた。
「……………」
つまり――生身では出来なくとも、ISなら出来る?
ぴん、とユウの脳裏に何かが奔
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