■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第五十九話 生きる意味:キリト&アスナ
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これはとても幸せなことよ。でも、この生活がいつまでも続くわけがないことも事実なの。現実世界では今、私達を救出するために様々な処置が取られているはず。本当に意識があるかどうかすら正確には分からない人たちに対して、決死の特攻――つまり、ナーヴギアの分解による救出作戦が実行される可能性もある。それは大げさだとしても、ベッドに縛り付けられている私達の健康だっていつまでも維持されるはずがないのよ。現実の体が病気にかかったとしても、具合の悪さを説明できない、感じることすらできない今の私達なんてまともに治療できないんだから。だから、私達はこの仮想世界を出て、現実でずっと一緒にいるため、ゲームクリアを目指しているの」
「そのとおりだ。俺たちはいつ死ぬかも分からない状況にいる。しかし仮に今死ぬとしたら、きっと後悔しか残らないだろう。だから俺は最後の一瞬まで、二人の未来のために戦い続けたいと思う。自分のできることを続けて、その道の半ばで死んだのなら、少しは後悔も薄いんじゃないかってね」
ミドリは嘆息した。これが彼らの思いの丈なのだ。
今度はストレアが質問をした。
「それじゃあ、ミドリの質問と重なる部分もありそうだけど……二人の生きる意味について、教えてほしいんだけど、いいかな」
シノンからストレアの正体について説明を受けていたキリトたちは、ストレアがこのような問いを発すること自体に驚きはしなかった。単なる興味によるもの、つまり人間を理解しようとする行動だと誤解したのだ。
「俺の答えは、生きる意味なんて無いってところだな。俺たち人間はせいぜい80歳そこそこまでしか生きられない。人間という種自体の寿命に対して、圧倒的に短いんだ。だからこそ、俺は生きたいように生きる。どうせ意味のない人生、せっかくなら俺も周りも幸せな気持ちでいられるように過ごすのが一番だ」
キリトの答えはいかにもキリトらしい答えだったので、ミドリは少し安心した。
「なるほど、ずいぶんと近代的な考え方なんだな。アスナはどうなんだ?」
「私は……『意味』っていうのが主観的なものだと思うから、キリトくんみたいに客観的に捉えるのは私の感覚とは少しずれてる。ある言葉が指す意味が場面場面によって違うのと同じように、意味っていうのは特別な、特殊なもので普遍性のあるものじゃないと思うの。だから、意味っていうのは誰にとっても同じ、客観的なものじゃなく、人によって違う、その人固有のもの、主観的なものだと思う。――だから私の生きる意味は、『私が私らしくいること』。他のいろんな人とは違う、『私らしさ』を持ち続けること。それが私の生きる意味よ。私の人生は他の誰にも決めさせない、私自身が進路を定めるんだ。そうやって生き続けることが、私の人生の意味よ」
アスナの答えもアスナらしいものだった。主観的でありながら、他
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