■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第五十八話 仲間を敵に回す覚悟、自分の命を失う覚悟
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疲れてるみたいだから、どうしたのかと心配で――それで相談に来たんだけど、あんたも十分疲れてるみたいね。朝は元気だったでしょう、一体どうしたの?」
シノンの気遣いに、ミドリは思わず涙をにじませた。この仲間を、ミドリは裏切ろうとしているのだ。
「ちょ、ちょっと本当にどうしたのよ。えっ、何かつらいことでもあったの?」
ミドリは首を振ると、シノンが差し出したホットミルクを一口飲み、気持ちを落ち着かせる。仮にこの先彼女を裏切ることになるとしても、せめて事情だけは話しておきたい。
「……話を、聞いてくれないか。これはストレアのこととも関係する。この先どうすればいいのか、俺には分からなくなってしまったんだ」
ミドリは話した。ストレアのこと、ゲームクリア後のこと。ただ、ミドリが生き残るために考えた唯一の手段については触れないまま。
「……そういうわけだ。ストレアはゲームクリアと共に消える。ユイはキリトのナーヴギアに、俺はミズキのアミュスフィアだかなんだかの端末上にいるからすぐには消えないが、茅場がいなければ展開できないはずだ。つまりゲームクリアが俺たちの死に直結する」
シノンはホットミルクを一口すすり、溜息と共に言った。
「思った以上に重い話ね。少しでも相談に乗ってあげられればよかったんだけど……私の手には負えないわ」
「いや、いいんだ。シノンに俺たちの命を負わせたいなんてことは考えちゃいない。ただ聞いて欲しかっただけだ」
そう、ミドリはただシノンに聞いて欲しかっただけだった。たとえこの後ミドリがシノンたちの攻略の邪魔をするような行動に出るとしても、そこにはそれだけの意味があったのだと知っていて欲しかった。ただそれだけのことだった。
「私には手に負えない――だけど、ひとつだけ聞いておかなくちゃいけないことがあるわ。ミドリ、あなたはこの後一体どうするつもりなの? まさかこれまでどおり攻略を進めるなんてことはできないでしょう」
ミドリは言葉に詰まった。それをここで決めるつもりはなかったのだ。シノンたちの邪魔をするかどうかなんてことは、まだ考えたくもなかった。しかし、ミドリの沈黙をシノンは的確に解釈した。
「……何も言えないってことは、やっぱり考えてるのね。クリアを阻止することを」
ミドリは思わず顔を上げた。それは違うと否定したかった。
「違う、俺は何もそんなことを考えちゃいない! 俺だってお前たちが現実へ帰ることを望んでいるんだ」
「いいのよ、クリアを阻止しようと考えるのは当然だわ。そうしなければ死んでしまうのなら、私だって考えてしまうはず。仮にあなたがクリアを阻止することを選んだとしても、私はあなたを絶対に責めないわ。裏切られたとか、そんなことは思わない。――でもね、これだけは覚えておいて。こんなこと、本当に言いたくないんだけ
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