■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第五十八話 仲間を敵に回す覚悟、自分の命を失う覚悟
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…?」
ストレアはミドリの目を見つめた。ミドリはその瞳の中に、哀れみのような感情を見た気がした。
「ミドリはまだ気づいていないんだね。気づかない方が幸せだよ。だから、私が教えてあげるべきじゃないのかもしれない――でも、いつまでも気づかないわけにはいかないよね。だって、このままじゃミドリも消えちゃうんだから」
「ちょっと待て、何のことだ。俺が消えるだと?」
「そう。考えたことはない? もし、プレイヤーが百層をクリアしたらどうなるのかを」
「百層がクリアされたら――全プレイヤーは開放され、SAOからログアウトし、現実世界へ戻る。そうじゃないのか?」
「そうだよ。それじゃその後、アインクラッドはどうなるかな? プレイヤーがいなくなったこの世界は――」
その後――システムは当然停止され、やがてデータは消去される、あるいはサーバーごと廃棄される。ミドリはその答えに行き着いた。行き着いて、しまった。
「消える……」
「そう。クリアされるんだよ、何もかも。アインクラッドを構成する建造物も、モンスターも、システムも、つまり私たちも、全部」
手が、震えた。ミドリはまだストレアの手を握りしめたままだったが、その震えはストレアだけでなく、間違いなくミドリのものでもあった。
「そんな――俺達は消えてしまうのか……? この世界で生まれ、何も為さないまま――」
ストレアはうつむいた。ミドリは呆然としてストレアを見つめた。そんな結末を迎えることになるなんて、ミドリは考えたくもなかった。突然ストレアがミドリに抱きつき、ミドリはベッドに押し倒された。
「私、消えたくない……! みんなと一緒にここで生きていたい! このまま消えるなんて嫌だよ、いやだよおおおぉ……」
ミドリはストレアを抱きとめたが、しかし慰めの言葉をかける余裕は全くなかった。
「なんとか、なんとかならないのか……。俺達が消えない方法は……ないのか……?」
うわ言のようにつぶやくが、その答えはなかなか見つからなかった。泣きじゃくるストレアを胸に抱きながら、ミドリは延々と考え、考えて――ついに考えついてしまった。なんとかする唯一の方法を。
――クリア、させなければいいんだ。
泣き疲れて眠ってしまったストレアをベッドに横たえ、ミドリもストレアの隣でうつらうつらと居眠りを始めた。その時、軽いノックの音がコンコンと響き、ミドリはハッと目を覚ました。ストレアを起こさないよう、ゆっくりと扉を開き、廊下に出る。ドアをノックしたのはシノンだった。
「どうしてあんたが出てくるのよ。部屋に何か隠してるの?」
「ストレアが俺の部屋で寝ちまったんだよ」
ふうんと頷いたシノンは、だったら下の談話室で話そうと提案し、ミドリはそれに従って下階へ移動した。
「ストレアが最近随分
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