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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十九話 暴かれる神話
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いたアルヴィンは、レティシャ夫人が永眠するまでそばにいたと締め括った。

「最後の最後にさ、お袋、ほんのちょっとだけど正気に返ったんだよ。俺を見てアルフレド、って呼んで、俺に『ダメなママでごめんねえ』って。『どこで何をしてても幸せならいいんだよ』『愛してる』って……な、んど、もっ…っ…」
「――そうか」

 顔を逸らした。大の男が同じ男に泣くのをまじまじ見られて嬉しいわけがない。

 ――〈アルヴィン〉が過去〈ジュードたち〉に何をしたのか。元アルクノアと言った彼の過去。気にしなかったといえば嘘だ。結局若い頃は踏み込めずじまいだったが。

 そうか、それが君の、〈アルヴィン〉の背負ったものだったのか。
 好きなだけ泣けばいい。嗚咽が聞こえなくなるまで、待ってやるから。





 教会の講堂にアルヴィンともども下りる。確かにいるな。ガイアスに四象刃。起き抜けにそういう目で見られると、存外、堪えるんだがね、こちらも。

「ヴィクトル!!」

 エリーゼ……っとと。いきなり抱きつかれるとバランスが取れなくて危ないんだが。まあ彼女は子供だからしかたない。

「あれ? ヴィクトル、お面、どうしたんですか」
「落としてしまったらしい。すまない。気持ち悪いものを見せて」

 エリーゼはティポを抱いて俯いたが、大きく首を横に振って、また私の腹に飛びついた。これは、受け入れてくれたととっていいのかな?

「もう起きられるのか?」
「ああ。見た目ほど大した怪我じゃない。骸殻を使ったから回復も早い。心配してくれたのかね?」
「そん…っ…っ…ま、まあ一応、庇われた身としてはな! 身を挺して庇ってくれた相手を案じて悪いか!?」

 珍しい。イバルがミラ関係以外で照れている。

 それで。当のミラは、と――いた。長椅子の一つに座って、腕組みをして足を組んでいる。普通なら悩ましげなポーズなんだが、ミラだと一切そんな気が起きないのが、ミラたる所以か。

「話は後にしてもらおうか」

 ウィンガル……しかたない。感動の再会はここまでとするか。彼らもアルクノアに首都を落とされたんだ。落ち着いてはいられまい。

「我らは奴らを討ち、カン・バルクを奪還する。だが、その前に、貴様らには教えてもらうことがある。断界殻(シェル)のことを」

 ……情報源はアルヴィンか? シャン・ドゥでほとんどの真実を語って聞かせた場に、彼もいたからな。
 いずれにせよ、いつかは誰もが知りうる、脆い真実だ。ミラは無視を決め込んでいるが、もう私が語ってしまって支障はあるまい。

「順序立てて話す。ややこしいだろうが聞いてくれ」

 前置いて、語り始める。自分でも遠くに感じる全ての始まり、2000年前の正しい出来事について。


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