第七十二話
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、アインクラッドで使ってた奴には断然劣るけど――と、リズの説明は続く。世界樹に来る前に、リズが武器のメンテナンスをしていたところを思い出し、リズは俺たちがログアウトしてから武器を作っていたのか、と得心がいった。すると、リズが今度はこちらの方を向く。
「はい、ショウキにはコレ!」
「えっ……まだあるのか?」
「時間ないから、キリトとあんたにだけ。感謝しなさいよね?」
てっきりキリトの二刀のみかと思っていたので、素直に驚きながらリズからのトレード申請を受託し、とりあえず装備を取り出すことにする。そして現れたのは、新たなもう一本道の日本刀――などではなく、左右揃った銀色の手甲のような物だった。
「……籠手?」
「ガントレット。……その二つの違い、あたし分からないけど」
籠手とガントレットの違いは俺にもよく分からないので、とりあえず籠手ということにしておく。銀色の美しい装挺をした軽い材質で、試しにつけてみても全く動作を邪魔しない。その分、あまり大威力の攻撃は防げそうにないが、そこは使い方次第だろう。
「しかし、何でまたこんなものを……」
「……あたしの代わりに、ぶん殴ってくれるんでしょ?」
リズは俺の問いを、身長の関係で見上げるようになってしまうものの、真っすぐと目を見据えながら答えた。機会が来たのならば、リズの代わりにアスナを囚えている者を殴る、という約束。……もちろん、忘れてはいない。
「……せいぜい、思いっきりぶん殴るよ」
「よろしい」
二人してクスリと笑いあうと、もう一度しっかりと籠手をはめ直す。この少ない時間で、これだけの装備を用意してくれたリズに感謝しつつ、籠手をつけた状態でもクナイを素早く掴めるように試す。……問題なく出来ていることを確認していると、リズはリーファへと話しかけていた。
「ごめんねリーファ。時間なくてリーファとレコンの分は……」
「そ、それはいいんだけど……レコンはどうしたの?」
「ユイも姿が見えないけど……レコンと一緒なのか?」
姿を見せない残り二人こと、レコンとユイについてキリト兄妹が同時に尋ねる。リズが鍛冶のために宿泊所に戻ったのは分かったが、レコンたちがどこにいるかは皆目見当がつかないが……リズは悪戯っぽく微笑んだ。
「あたしたちにはあたしたちに出来ることを、ね」
リズのその言葉が終わると同時に、遠くの空から轟音が響く。このタイミングをリズが狙ったのならかっこいいものだが、リズ自身も小声で「えっ、はやっ……」などと呟いているので、何とも格好がつかない。聞こえなかったことにしておく。
「……飛竜!」
そして空から響く轟音の正体は、リーファが驚いた通りに飛竜。空を覆い尽くすほどの竜と鎧を纏った妖精
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