第七十二話
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った。
「翔希くん、なんだよね?」
「ああ。改めてよろしく、直葉」
リーファ改め直葉と向き合う。キリトと何があったのか、事情をわざわざ聞いたりはしないが、リーファは少し吹っ切れた表情をしていた。……いや、何がどうして頭上から剣が落ちてくるような状況になるのか、ということにはとても興味があるが。
そして何とも不思議なもので、直葉だということが分かってから、リーファの挙動の向こうに現実の直葉が見えるような気がしていた。よく共に道場で鍛錬していたからか、都合のいい脳をしているのかは知らないが。
「でも翔希くん、本名そのままはどうかと思うよ?」
「…………」
「遅くなってごめーん!」
直葉……ではなく、リーファの至極ごもっともな意見に、放っておいてくれ――と、言おうとしたその時、カフェに新たな妖精が降り立った。小さいレプラコーン……リズだ。しかし別行動をしているのか、ユイとレコンの姿は見えなかった。
「あ、キリトとリーファもいたの? 良かった良かった」
「それよりリズ、何してたんだ?」
そんな俺の問いかけにニヤリとした笑みのみで応えると、リズは左手に持っていた補助コントローラーを消すと、ニヤニヤしながらメニューを操作していく。すると、その手に光とともに、二本の剣が握られていた。黒と白の二色の片手剣、それはまさしく――
「SAOで使ってた、俺の剣……!?」
――そう、《二刀流》のキリトの剣に他ならない。50層のフロアボスのLAボーナスである黒い剣《エリシュデータ》に、竜の洞穴で見つけた希少なインゴットで作った白い剣《ダークリパルザー》。アインクラッドで、キリトとともに戦場を駆け抜けた二本の剣が、在りし日の姿と同じようにそこにあった。
「もちろん、1から新しく作った別物だけどね。はい、キリト」
「あれが、お兄ちゃんがSAOで使ってた剣……」
トレード申請とともに二本の剣がリズからキリトに渡され、あの浮遊城の時と同様にキリトね手に収まった。……一瞬だけその姿が、スプリガンのキリトではなく、《黒の剣士》キリトであるように幻視する。
「重いな……」
「あんたが店で買ってた大剣より、ちょっと軽いくらいだからね。でもキリトなら大丈夫でしょ?」
あの大剣の少し軽いくらいのが二つ、と聞いて戦々恐々としたが、キリトはアインクラッドの時のように二刀を自在に操ってみせる。今この瞬間に戦闘が始まっても、何も問題なさそうなその動きに、制作者であるリズは満足げに微笑んだ。
「でもリズ。どうしたんだ、これ……?」
「ホテルに鍛冶屋あったでしょ? あそこで造らせて貰ったわ」
もちろん、特別なインゴットとかボスのドロップアイテムとか使ってるわけじゃないから
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