空白期 第22話 「レーネの相談」
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味ボケのようにも感じられるから困るわね。
家のことの大半はショウくんがしているはずだから、実質彼がいなくなればレーネの生活習慣は今よりも格段にひどいものになる。そうなれば栄養失調で倒れる……最悪過労死なんてことだって可能性としては充分にありえる。
「ただ……これはただの私としての感情だ。保護者として見た場合、私は桃子くんやリンディに比べれば……いや、比べてしまってはいけないほど失格だろう。正直……親代わりになったのに、何かしてあげられた記憶なんてものが私にはない」
初めて見る自分を責めるレーネの姿に、彼女がどれだけショウくんのことを考えているのか。また仕事ばかりで何もしてあげられていない悔しさや罪悪感のようなものがひしひしと伝わってきた。
――確かにレーネは、はたからみれば子供を放り出して仕事に夢中になっている保護者なのかもしれない。
でも私には……彼女に偉そうに言える言葉どころか資格さえないわ。私だってクロノにあまり構ってあげられなかった。それに管理局に身を置いている以上、彼女の仕事ぶりとそれがもたらしてきた恩恵を知っている。もう少し休んだら、くらいは言えても……説教と呼べるものはできない。
「あの子の母親になりたい……そう思う一方で、こんな私が母親になっていいものかと思ってしまうんだ」
レーネのように仕事優先で過ごしてしてきた私はもちろん、シャマルさんも彼女に何か言ってあげたい気持ちはあっても言葉は出てこないようだ。彼女が言い終わるのと同時に流れる静寂……それを様々な思いを包み込んでしまうかのような優しい声が破った。
「……そうね。私もレーネさんと同じ立場だったらそんな風に思って悩みそうだわ。だけど……レーネさんからじゃなくて、ショウくんから母親になってほしいって言ってきたのよね?」
「あ、あぁ」
「なら……母親になればいい、と私は思うわ」
にこりと笑いながら言う桃子さんの言葉には、温もりにも似た安心感が感じられた。レーネだけでなく、私やシャマルさんも黙って彼女の言葉に耳を傾ける。
「あのショウくんが自分から母親になってほしいって言ったんだもの。レーネさんが何もできていなかったなんてことはないはずよ。もし何もできていないのなら母親になってほしいなんて言わないだろうし」
「そう……だろうか」
「自分にとっては何でもないようなことが、人によっては大切なことだったりするのが世の常だもの。ここだけの話だけど……ショウくん、レーネさんには感謝してる。レーネさんのことが好きだって言ったことがあるのよ」
確かにふたりっきりで話したときに恥ずかしそうに口にしていた記憶がある。そのときの姿は、普段本心を口に出そうとしないレーネの姿に被らなくもない。よく思い出してふたりを重ねると、似ている部分は多そ
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