2ndA‘s編
第十四話〜覚悟と意思〜
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恩恵か、それとも痛覚自体が麻痺しているのかは判断できなかったが、眼球に痛みはない。
(終わらせないっ)
内心で言葉を吐き出す。そして終わらせないために、ライは再び舞台に上がるための翼を広げる。
(パラディン)
例えそれが報われない悲劇であろうと、彼はその舞台に立ち続けることを選んだ。
(モード・アルビオン)
海中で銀の光が溢れた。
海鳴市・海上
時間は戻り、闇の書の人型が魔力の砲弾を放とうとした時、突然それは起こった。
人型直下の海面が大きく爆ぜたのだ。
水をぶちまける大音量とそれに比例した巨大な水柱は、人型を飲み込み見るもの全てを圧倒する何かを感じさせた。
そして上空に舞い上がった海水の塊は重力に引かれ、一瞬の豪雨を生み出す。もしこの瞬間、太陽の光が雲で遮られていなければ虹がかかっていただろう。
『なのはさん!逃げて!!』
「え?」
その光景を呆然と見ていたなのはは、耳に飛び込んできたリンディの声に咄嗟に反応できなかった。彼女が退避を命じられたのは、水柱に飲まれた程度で人型が砲撃を中止していなかったからだ。
しかし、それは視界が一瞬ではあるが水柱で遮られ、しかも内心で動揺していた彼女には感知できていなかった。
なのはが気の抜けた言葉を吐くと同時に、とうとうその砲弾は放たれた。子供であるなのはどころか、大の大人ですら覆い隠せてしまうそれが彼女に迫った。
呆然とそれを直視していたなのはに、その声は確かに彼女の耳朶を叩いた。
「ごめん、少し手荒くなる」
瞬間、緑の軌跡が空間に残された。
なのははいきなり振れる視界に混乱のピークとなる。そして次の瞬間には、彼女の視界には舗装された海沿いの道路と自分を抱えるライトグリーンの翼を背負うライの姿が写りこんでいた。
その光景にまず、彼女はライが生きていた事に安堵し、次いで自分が生きていることを喜んだ。
思わず――――というよりも、本能的に彼女は目を瞑り両腕で自分を抱きしめカタカタと震え始める。閉じられた瞳からはポロポロと涙が零れ始めていた。
「大丈夫――――大丈夫――――」
そんな彼女をライは一言一言安心させるように呟きながら、彼女の背中を優しく撫ぜる。
彼女を助けるため、咄嗟に彼女を抱えるようにして飛んだライは、そのまま自分の心音が聞こえるように彼女を抱きしめる。海水に浸かっていたため、決して高くはない体温と鼓動はしかし、なのはに生の実感を確かに与えた。
その状態が幾分か続き、彼女の震えが収まる。すると彼女は今の自分の状況を把握できたのか、恥ずかしそうにしながらも道路に足をつけた。
「あ、あの、ありがとうございました!」
勢いよく頭を下げながら、感謝
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